祇園の“おもてなし”をIT化!?にみるSNS成功のヒント
深田 そうですね。同じような考え方はできると思っています。開発者は、自社製品についてよく知っているユーザーを見ると、うれしいわけです。そこで「実はこんなことも、やっているんだぜ」と反応があると、ユーザーのほうもうれしい。そうした「わかってくれるユーザー」に対してなら、いい製品もつくっていけるというのが自然な発想ですよね。そこで本当にいい製品なら、ユーザーが自分自身で広めていってくれます。そんなファンを多く抱える会社は強い。
祇園は顔が見える小さなコミュニティーなので実現できたという点もありますが、リアルの場がないネットでも、似たような関係はつくれると思います。目指すべき方向性は、こっちなんじゃないのでしょうか。
――ゲーミフィケーションという言葉はアメリカから来ましたが、向こうにも祇園のような概念はあるのでしょうか?
深田 ホテル業界におけるホスピタリティが近い考え方ですよね。繰り返しになりますが、おもてなしを重視しましょうというのが、ゲーミフィケーションを通じて一番言いたいことです。もちろんゴールとして、商品を買ってもらうというのがあるとはいえ、それはあくまで結果。おもてなしの姿勢を持って接するから、買ってもらえる。無理やりプッシュして買えとか、だまして売るといったのではない関係性が重要だと思います。
(構成=広田稔)●深田浩嗣(ふかだ・こうじ)
株式会社ゆめみ代表取締役社長。京都大学大学院在学中の2000年1月、CEOの片岡俊行、CTOの中田稔と共にゆめみを設立。技術力を駆使してECシステム、メール配信システム、大規模CRMシステムやソーシャルゲームなどモバイルインターネットサービスの企画・開発等を手がける。ゲームで使われている要素をゲーム以外の領域に活用する「ゲーミフィケーション」の日本での第一人者。著書『ソーシャルゲームはなぜハマるのか』『ゲームにすればうまくいく』