–BBTで何が変わりましたか?
伊藤 BBTに入学したことで、経営者としての視野が広がりました。さまざまな立場の方との交流を通じて、多くの刺激を受けました。そのうち、自分もまた起業したいと思うようになり、具体的なビジネスプランもなかったのですが、「起業したい」と周囲に話していました。
ある時、クラスメイトとの飲み会で「起業するならお金出してあげる」と、100万円出資してくれた人がいました。そこで、酒の勢いを借りて「ほかにも出資してくれる人」と言ったら、2人が手を挙げてくれました。そんな感じで300万円の元手ができたので、起業することにしました。
–具体的に、どのようなビジネスをするか決まっていたのですか?
伊藤 その時点では決まっていなかったのですが、その頃、ビジネスプランを投稿するウェブサイトがあり、そこにいくつかのプランを投稿していました。そのサイトを通じて、今のLAUGHTECHの取締役である川崎雅弘と知り合ったのです。当時、川崎はアメリカの大学の学生で会社経営もしていたのですが、12年10月に大学を卒業したら、アメリカに残るか日本に戻るかと悩んでいました。そこで、日本でビジネスを始めるから一緒にやらないかと誘い、会社をつくることになりました。
–事業は、どのように展開したのでしょうか?
伊藤 会社設立後、最初に手掛けたのはスマートフォン(スマホ)向けの漫画コンテンツの制作でした。完全な縦スクロールで、現在NHN PlayArt が展開している「comico」のようなウェブ漫画です。雑誌などの漫画をウェブに転載するコンテンツが多かったので、ウェブに特化した漫画は受けるはずだと思っていたのですが、その事業はうまくいきませんでした。
その次には、絵を描かずにスタンプを使って漫画を制作できるアプリを開発しました。これはサービススタート前の段階では評判がよく、グーグルのコンペで受賞したほどなのですが、いざ展開してみると苦戦しました。この間は、ベンチャーキャピタルの出資を受けて開発を続けていました。
–そのような状況から、どうやってバイラルメディアにたどり着いたのでしょうか?
伊藤 なかなか先が見えない中で、先に制作したウェブ漫画事業を方向転換してみようと考え、海外のサービスを参考にしようと調査していたのですが、川崎が面白いサイトを見つけたのです。それが「9GAG」というバイラルメディアです。
9GAGは、当時から海外でとてもはやっていて、現在では月間25億ページビュー(PV:閲覧数)まで成長しているサービスです。それに出会った時、漫画をつくるのではなく、画像をユーザーが投稿するだけでいいのではないかと考えました。9GAGは、コンテンツをFacebook上で拡散させるというスキームです。そこで、漫画制作を方向転換する前に、このバイラルメディアを参考にサイトを制作し、試験的に展開してみることにしました。それが「CuRAZY」です。