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安倍首相の談話は、日本が被害を与えた人たちの「寛容の心」によって国際社会に復帰できたことや、和解のために力を尽くした「すべての国々、すべての方々に、心からの感謝」を述べ、「そのことを未来へと語り継いでいかなければならない」としている。そうであれば、和解のプロセスや、それにかかわる感謝の気持ちも次世代へと伝えていく努力がもっと必要だ。
安全保障関連法案に関連して中国脅威論が語られ、同国を仮想敵扱いしているとの論評も飛び交っている。そういう時期だからこそ、こうした「感謝」の気持ちの表明が中国、さらには韓国との関係改善の出発点になってほしいと心から願う。秋にでも、安倍首相と習近平国家主席の三度目の会談が開かれるのではないかといわれている。安倍首相が、賠償請求権放棄に尽力した周恩来元首相のゆかりの地を訪ねるなり、残留孤児を育ててくれた家族のもとを訪れて、日本としての感謝の意を表明するのもいいかもしれない。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)
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