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もう伊勢志摩には行ったか?なんだかスゴイぞ!伊勢エビ、アワビ、温泉、そして伊勢神宮!

文=編集部
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もう伊勢志摩には行ったか?なんだかスゴイぞ!伊勢エビ、アワビ、温泉、そして伊勢神宮!の画像1志摩市のHPより
 近鉄名古屋駅から特急電車で約2時間、志摩線の終点・賢島に着く。真珠の養殖で有名な英虞(あご)湾に面した周囲約7.3キロの小さな島である。本土からは2本の橋で渡るしかなく、警備しやすい点などが評価され、2016年5月26、27日に開催される先進国首脳会議(サミット)の主会場に選ばれた。

 8月初旬、特急電車から降りる観光客は数十人程度だった。夏休み中とあって家族連れが目立つ。小さな駅の改札を出ると土産物売り場とレストランがあり、バス停の前に小さな灰皿が置かれている。潮風があるからだろうか、猛暑の名古屋市内と比べると随分しのぎやすい。

 サミットで各国首脳が宿泊し、会議が行われると想定されている志摩観光ホテルに向かう。駅から歩いて10分程度の高台にある、近鉄が1951年に開業したリゾートホテルである。敷地内には旧本館と「クラシック」「ベイスイート」があり、クラシックは主会場、ベイスイートは各国首脳の宿泊施設になるとみられている。現在は耐震補強・改装工事のため休館中で、建物にシートがかけられており行き交うのは工事関係者の車両のみだ。ホテルの客室から眺める英虞湾の眺望、とりわけ夕陽は絶景だといわれている。

もう伊勢志摩には行ったか?なんだかスゴイぞ!伊勢エビ、アワビ、温泉、そして伊勢神宮!の画像2歓迎ムードの賢島
 駅とホテルの途上には水族館がある。駐車場は結構埋まっており、土産物売り場では孫と一緒の老人がうれしそうに買い物中だった。駅の反対側には観光クルーズの発着場となっている小さな港があり、周辺に真珠店や飲食店が立ち並ぶ。店頭にはサミット歓迎の幟がはためき、ポスターも貼られている。「賢島サミット定食」や「G7バーベキューセット」など特産の海産物を生かしたメニューが並ぶ。

 行列ができるほどの混雑は見られないが、サミットが決定した効果なのだろう、クルーズや水族館の客足は昨年を2~3割上回っているという。島に滞在中、外国人観光客の姿は見当たらなかった。

 賢島を後にして伊勢神宮に向かった。強い日差しが差す内宮前の参道は、お伊勢参りの人々であふれんばかりだ。「赤福本店」「御木本眞珠島店」といった老舗が軒を並べ、参拝客が名物をほおばり土産物を選んでいる。団体客の姿もある。式年遷宮が行われた13年、伊勢神宮には年間1420万人の参拝客があった。翌14年は減少したものの、1086万人が訪れている。そして伊勢神宮のパワーは今年も健在であるように見えた。サミットに出席する首脳が参拝するかどうかが注目されている。

サミットの経済効果は510億円?

 地元の志摩市や三重県は来年のサミットに向け、「サミット推進本部会議」を重ねるなど準備に余念がない。鈴木英敬知事は「三重県が経験したことのない大作業が始まっています。(略)最高レベルに安心安全で快適で、おもてなしが発揮されるサミットにしなければならなりません」とFacebookに書き込んだ。そうした中、地元の百五銀行グループのシンクタンクは、サミットの経済波及効果は県内だけで約130億円、全国では約510億円に上るとの試算をまとめた。内訳は、宿泊費や飲食費が74億円、運営費や観光案内費が50億円、物品購入費33億円、情報通信費25億円、建設関連費20億円などとなっている。

 人口減少が続き、財政状況も厳しさを増す一方だった地元自治体にとって、サミット開催とその経済効果は願ってもない朗報だ。

「志摩市の観光客の推移をみると、日帰り観光客は06年の308万人からジリ貧状態で、08年以降は300万人を切っています。13年は伊勢神宮の遷宮効果があり7年ぶりに増加に転じましたが、それでも約252万人で、宿泊客は約156万人にすぎません。遷宮の翌年からは再び減少傾向で、市は今年になって新たな観光振興計画を打ち出したばかりです。それだけに、サミットを契機に国際的な知名度が高まり、外国人観光客や宿泊客の増加につなげたいとの期待が高まっています」(地元関係者)

京都を訪れる外国人の呼び込みを狙う

 訪日観光客年間2000万人時代を迎えようとしているなかで、サミットをテコにこの大潮流に乗るにはどうしたらいいのか。志摩市では「オール志摩・次代へつなぐ“里海ツーリズム”」というスローガンを掲げ、観光振興計画を打ち出している。英虞湾をはじめとする伊勢志摩国立公園の自然、真珠、温泉、伊勢エビ、アワビなど豊かな海産物、そして神宮文化と日本人はもちろん、外国人観光客を魅了する観光資源には事欠かない。いかに伊勢志摩を観光ルートに組み込ませるか、滞在(周遊)日数を増やすかがポイントになる。

「国内観光客対策としては、伊勢神宮に参拝した客をどう呼び込むか。地元自治体が打ち出しているように里海の魅力を最大限アピールして、見る・食べるだけではない体験・滞在型の魅力的なモデルを打ち出すことができるかどうかでしょう。外国人対策のカギは京都です。京都に宿泊する外国人観光客は年間180万人超ですが、志摩市はわずか約1万7000人です(12年時点)。京都から賢島まで近鉄特急で2時間40分ですので、その立地を生かして京都を訪れる外国人観光客の1割を呼び込むことができれば、観光地としての存在感は一変するでしょう」(地元の観光関係者)

 08年の洞爺湖サミットから7年。昨年度、洞爺湖町を訪れた観光客は62万9000人で、前年度比9.6%増。外国人宿泊客は19万2000人で前年度比約56%の大幅増だった。「札幌、小樽から周遊してくる客が多い」(地元関係者)。最近は団体客のほかに、インターネット予約による個人客が増加しているという。

 志摩市では、公募で決定した市公認の萌えキャラ「碧志摩(あおしま)メグ」のデザインをめぐり「女性蔑視だ」などの声が上がり、地元の海女たちが反対の署名を提出する騒動が起き、ネット上でも話題になっている。思いがけずPR効果が上がった格好になったが、本当の勝負はこれからだ。外国人の人気スポットとなった洞爺湖に続き、サミット開催地に決まった伊勢志摩も国際的な観光地へと脱皮できるだろうか。
(文=編集部)

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