「『5年程度』などという、期限をはっきりと区切らないJAEAのやり方が、不信を招くのです」
こう語るのは、地元の市民団体「放射能のゴミはいらない! 市民ネット・岐阜」の兼松秀代代表。兼松さんがそう感じるのには訳がある。JAEAが発行している広報用パンフレットに記載されていた「市有地は、20年間の予定でお借りしており、地層科学研究の終了後は埋め戻してお返しすることになっております」との文言がコッソリ削除される“事件”が今年1月に発覚していたからだ。兼松さんらが抗議すると、JAEAは「配慮が足りない部分があった」として、削除した文言をパンフに復活させていた。
その後、8月8日の記者会見でJAEAは、市有地の返還を「6年延長」することを決めたと発表。さっそく、さらに1年延ばされた。これ以上絶対に延長されないという保証は、今のところない。
北海道では「7年延長」
研究期間の延長を画策する動きは、北海道幌延町のJAEA「幌延深地層研究センター」でも同時に起きていた。瑞浪市での動きが明らかになったのと同じ8月2日、JAEAは北海道庁と幌延町に対し、2028年度末まで調査研究を継続するとの研究計画案を提出した。当初の計画では、2021年度末までの「20年程度」とされていた研究期間が、新たな計画案では7年延長されている。しかも、研究が本当に終了する時期はハッキリと示されておらず、今後検討するのだという。
幌延町の計画でも、研究終了後には施設を閉鎖し、地下の坑道を埋め戻すことが、JAEAと北海道、幌延町との間で交わされた3者協定で決まっていた。今年度中には研究終了までの工程や埋め戻し着手の時期が決まるはずだったのも、瑞浪市での計画と同じである。ただ、幌延深地層研究センターのある土地の所有者はJAEAであり、埋め戻し終了後に土地を返還するわけではないところが、瑞浪市での研究と異なる。幌延町での新計画案は語る。
「地層処分の技術基盤の整備の完了が確認できれば、埋め戻しを行うことを具体的工程として示します」
つまりJAEAとしては、地層処分計画の今後の進捗次第によっては、いつまでも埋め戻し計画を示さないつもりらしい。このような人を食ったやり方に、「期間延長は約束違反だ」として猛然と反発したのは北海道新聞である。同紙は8月4日付の社説で、
「約束通りなら、21年ごろに終了するはずだったが、提出された計画案は従来の研究課題に引き続き取り組む意向を表明し、3者協定を事実上ほごにした」
と、JAEAの姿勢を猛然と批判。次のように北海道庁と幌延町の尻を叩いた。