韓国人の日本製品不買運動を、成功した韓国人はバカバカしく思っている理由
知性とは、「疑問を持つこと」「問いを立てること」でもあります。では、政府やメディアの報道を鵜呑みにし、扇動的な運動に加担する人はどうなのか。私の知人の韓国人(今は帰化して日本人)に聞くと、「知的な人ほど不買運動をバカバカしいと思っている」そうです。しかし、「表立っては言えない」そうで、社会の雰囲気や他人のイデオロギーに自分の購買行動が左右されるとしたら、やはり賢い買い物にはならなさそうです。
事実を知ろうとする姿勢
歴史においても同じです。私が明治・大正から戦後にかけての近現代史を勉強し直すきっかけになったのは、前述の原発事故で、東南アジアを旅行したときのこと。初めてのマレーシアで、現地通訳の人に「日本がイギリス軍を駆逐してくれたおかげで植民地支配から解放され独立できた」という話を聞き、自分が習ってきた「日本はアジア各国に侵略して悪事を働いた」という自虐的な歴史観とは違うことに気づきました。
インドでの産業交流会に参加したときも、政府の役人から「私たちは日本が好きだ」と言われました。そして、「インパール作戦を知っているか?」というのです。補給を軽視した、日本軍最大の愚策として名高いインパール作戦ですが、そこで日本軍がインド軍と一緒にイギリス軍と戦い、それがインド独立のきっかけになったそうです。そのためインド人の、特に年配の人には日本に感謝している人が少なくないといいます。
そういう経験もあり、民間の文献、それも日本人作者だけでなく、海外の人が書いた文献も併せて複数読んでみたところ、自分が習ってきた歴史、教科書に書いてある歴史とは違う事実、語られていない事実があることを知りました。むろん、隣国が主張する歴史の偏向ぶりも知りました。
つまり歴史教育とは、自国に有利なように国民を洗脳する側面があるという冷静さを持てば、事実を知ろうという動機となり、より正確な理解を助けてくれます。そしてこれは歴史に限らず、仕事や資産運用なども含め、あらゆる事象・情報に必要な姿勢ではないでしょうか。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)