そんな日本のラグビー・ブームを、隣国・韓国ではどう見ているのかといえば、ほぼ興味なし、といったところ。野球、サッカー、ゴルフに五輪など、スポーツ競技になると日本へのライバル意識を燃えたぎらせる韓国だが、メディアで報じられた記事は「純血脱皮の日本ラグビー、世界的強豪の南アフリカを捕らえた」(聯合ニュース)、「日本ラグビー3勝してもワールドカップ一次リーグで敗退」(ソウル新聞)くらいである。
もっとも、それも仕方がないかもしれない。韓国でラグビーはマイナースポーツに分類されており、まったく人気がないのだ。どれほど人気がないのか、具体的な数字で見てみよう。
日本のラグビー競技者人口はおよそ18万人で、毎年冬に大阪・花園で行われる全国高校ラグビー選手権大会には約800校が予選に参加するといわれているが、韓国のラグビー人口はその100分の1にもならない。その数、推定で1300人強。アマチュアのチーム数も中学23チーム、高校20数チーム、大学9チームという少なさなのだ。
そんな状況だから、代表チームのワールドカップ出場歴はなく、日本にもまったく歯が立たない。日本との通算成績は韓国の6勝25敗。サッカーでは韓国の38勝13敗23引き分けと大きく勝ち越しているが、ラクビーの世界においては、その実力差は歴然。2002年以降は、一度も日本に勝ったことがないのだ。その理由を以前、韓国のラグビー関係者に聞いたところ「日本は外国籍選手も加わったチーム編成だが、我々は純血主義だ。純血同士の対戦なら互角。98年と02年のアジア大会では、我々が勝っている」と皮肉たっぷりに強がっていた。
強豪・サムスン重工業ラグビー部が解散
しかも、最近はさらに苦境に立たされている。今年春、国内屈指の強豪だったサムスン重工業ラグビー部が解散したのだ。
同チームはその名の通り、サムスン・グループ系列の実業団チーム。高校時代にラグビー部に所属していたこともあるサムスン・グループの総帥イ・ゴンヒ会長の肝いりで95年に誕生し、96~05年まで全国体育大会(日本の国体のようなもの)で10連覇を成し遂げたチームである。国内トップ選手が集り、韓国代表の60~70%がサムスン重工業の選手だった。