渦中の人物は、浙江財経大学の謝作詩教授だ。謝教授は10月14日に自身のブログに「“3000万の光棍”は杞憂である」という論説を投稿。そこで「収入の低い男性は、数人共同でひとりの妻を持てばいい」と大胆提言をしているのだ。
住居から車まで、あらゆるものを他人と共有するシェアリングサービスが世界的に広がりつつあるが、今度は妻をシェアしようというわけだ。
中国でようやく一人っ子政策が廃止されたことが話題になっているが、それでも2人までという制約があり、生まれてくる新生児の性別は大きな関心事だ。家系を絶やさないことを重んじる風潮が強いため、一般的には女児より男児の誕生が望まれる。
そんな中、男女の人口比に偏りが生じている。中国国家統計局の発表によると、2012年の新生児の男女比率は女100に対して男は117.7。自然な数字といわれているのは女100に男102~107で、これに比べると中国の新生児男女比率は大幅に歪んでいる。出産前、胎児の性別が女であることがわかると、中絶してしまうケースが後を絶たないからだ。
このため、中国では20年には3000万人もの「光棍」が出現するといわれている。光棍というのは、彼女や妻がいない独り者の男性のこと。男性の数が女性に比べてあまりにも多いため、結婚したくても相手が見つからない男性が3000万人も出てくるというわけである。
結婚できない男性が増えると、本人たちが寂しいばかりか、社会にとっても大きな問題が生じることとなる。少子高齢化が進行する中、中国は近い将来、扶養家族を持たない老人であふれることになるのだ。そうなれば国は、莫大な社会保障費を賄わなければならなくなる。
一妻多夫制か売買春か
そこに出てきたのが、謝教授のブログである。内容を要約すると、以下の通りである。
「3000万人の光棍は否定できない事実だが、それが大きな社会問題になることについては否定する。高収入の男性がまず優先的に相手の女性を見つけられる。なぜなら彼らは高額なカネを出せるからだ。では、低収入の男性はどうしたらいいのか。ひとつの方法は、数人で一緒にひとりの妻を見つけることである。もしそれを望まない、または法律がそれを許さないという場合は、本当に光棍になるしかないだろう。しかしそれが、性生活を送れないということにはならない。3000万人の光棍の存在が女性の性的価値を高め、性的サービスの供給が増えるからだ」