これまで11回(番外編3回を含む)にわたって、「結婚を計算する」をテーマにお話をしてきましたが、いよいよ最終回です。
今回は、「結婚における収入支出」を、特に「子どもにかかるコスト」という観点からアプローチしてみます。
実は同様の話題は、結構世の中に溢れています。特に保険会社が積極的にデータを開示しています。その保険会社のデータを検算してみたのですが、「計算結果が合わない」「一貫性がない」「我が家の例に全然当てはまらない」のです。
ほかにも、色々な情報にアクセスしたのですが、パターンがバラバラ、記載が細かすぎる等、なかなか全体感がつかめません。そこで、大まかな数字を使って、おおよその全体感をつかむことを目的として計算しました。
なお、計算に使用したデータも、すべてエクセルファイルに記載してありますので、興味のある方は、文末のリンクから江端のホームページをご覧ください。
●税金と固定支出で収入の約5割?
まず、モデルケースとして、平成24年の国税庁の調査結果を基に、夫婦合算の平均年収を600万円と仮定しました。平均月収は50万円で、20歳から65歳の45年間に約2.7億円の生涯収入があることになります。
ここで、所得税・住民税簡易計算機を使用して計算した結果、約3割を所得税・住民税等の直接税として納めることがわかりました。それに加えて、消費税、保険料、住宅ローンまたは賃借料などの固定支出で約2割消費すると考えると、結局のところ可処分所得は約半分となり、生涯で約1.35億円、月平均25万円です。つまり、収入に対して、実際に動かせるお金はほぼ半分なのです。
本当にそんなに少ないのか、他のデータとも突き合わせ、一世帯の平均支出と比較してみたのですが、項目を調整して計算すると、おおむね一致しているようでしたので、上記モデルケースを使用して計算しました。