では、今回の内容をまとめます。
(1)子どもの数と収入は、強い因果関係があると認められる。
(2)少子化を改善させるには、現状の日本人の平均収入では足りない。
今回のこのコラムは、皆さんが普段思っていることを、現実的な数字を使って検証し、当然といえる結果を得て、そして私が納得した――それだけのものです。
●少子化は止められない?
最後に、これまでの「結婚シリーズ」を総括してみたいと思います。
上記が、「出産させないシステム」の閉じたループです。
以前、私は、「この閉じたループを壊すのは容易ではないこと」を理解した上で、このループを構成する要素を「個別的に撃破」すると高らかに宣言しました。
結論から申し上げます。
「ミッションに失敗しました。現時点において、結婚、出産、育児が、こんなにも絶望的に厳しい状況にあることを、理解していませんでした」
(結婚への)意識改革、生殖技術(ART)、最新細胞技術(iPS細胞等)、法律(婚姻に関する)、事実婚、そして今回の収入支出に至るまで、私の考え得るすべての方面で検討してきましたが、どれも簡単に実行できるものではなく、それぞれがそれなりの意義を有しており、それらを壊すことは難しく、さらに壊したからといって、効果が表れる保証もないことがわかってきました。
そして、上記のそれぞれの状況分析や提案に対して、「自分で計算すらせずに、評論を続けるエライ先生」や、「代案の一つも出さず、批判して立ち去るだけのモラリスト」の多さに、心底がっかりしました。もうこの問題は、政府や私を批判していればなんとかなるという状況など、とうの昔に超えているのです。私たちは腹を括るべき時に来たのかもしれません。
「非婚率は増加し、少子化は止められない。むしろ加速的に悪化し続ける」
この前提を認めた上で、「結婚という制度が形骸化した国家」の中で、「出産させないシステム」と共に生きていく、新しいパラダイムを考えていく時代がやってきたのかもしれません。
※なお、図、表、グラフを含んだ完全版は、こちら(http://biz-journal.jp/2014/05/post_4981.html)から、ご覧いただけます。
※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナー(http://www.kobore.net/kekkon.html)へお寄せください。