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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国、国家存続の限界 「共産党独裁・自由主義経済」が破綻の危機

文=渡邉哲也/経済評論家
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 中国の大企業の多くはいまだに国有であり、そうでなくても、中国共産党の幹部が実質的なトップやナンバー2に座っているのが実態だ。本当に自由化を進めるのであれば、この中国共産党の独裁体制を崩壊させる必要がある。すべてを民営化して、市場原理に任せることになるため、当然といえば当然だ。

 しかし、その方向に進むということは中国共産党の崩壊につながるという、ジレンマを抱えている。つまり、中国において、これ以上の自由化は事実上不可能ともいえるわけだ。

 また、中国は人民元の国際化を進めているが、「国際化=自由化」ということも理解する必要がある。当たり前だが、国際化するということは、国際的なルールに従うということだ。中国の“マイルール”を国際金融市場に持ち込むことは許されない。

 確かに、世界の国々は、これまで中国の自己中心的な振る舞いを、ある程度は許容してきた。しかし、それは中国が自由化や民主化を進めるという前提の下であり、あくまで段階措置として認めてきただけである。最終的に中国のルールを国際市場のルールにすることなど、許されるわけもない。

 このような事情や背景を考慮すると、中国経済はあらゆる面で限界を迎えているといえるだろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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