6年後の2025年、約800万人とされる団塊の世代(1947年から49年生まれ)が75歳以上の後期高齢者になる。国民の3人に1人が65歳に、6人に1人が75歳以上となる超高齢化社会が迫っている。
社会保障費の急増が懸念されるなか、厚労省が10月21日、看護職員の需給推計を発表した。それによると、看護師、准看護師、保健師、助産師が2025年には最少で約6万人、最大で約27万人不足する。厚労省の医療従事者の需給に関する検討会の資料で明らかにされたもので、推計にあたってはワーク・ライフ・バランス(勤務環境改善)の実現を前提に、残業時間と有給休暇取得日数に応じた3つのパターン、「(1)残業月10時間以内。年間有休取得5日以上」「(2)残業10時間以内。有休10日以上」「(3)残業ゼロ。有休20日以上」で試算した。その結果、需要推計(必要人員)は「(1)188万668人」「(2)189万7547人」「(3)201万9758人」となった。これに対して供給推計は174万6664人から181万9466人。需給はいずれのパターンでも約6万人から約27万人の不足となった。
超高齢化社会に突入し、医療看護を必要とする患者数が増えるのに、現場では大幅に人員が足りない。このままいくと、そんな切迫した状況になってしまう。
都道府県間の格差
都道府県別の需給バランスを検証してみよう。3パターンのうち現実の勤務実態にもっとも近い(2)で比較してみると、もっとも深刻な不足状況に陥るのは神奈川県で3万2053人、充足率は72.60%しかなかった。充足率の低い都道府県10県は次の通り。人口が多い首都圏や大阪の不足が際立っている。
逆に充足率が高い県はどこか。上位10県をリストアップしてみた。北陸や西日本が多い。
充足率の高低で比べると、もっとも高い秋田県(119.6%)ともっとも低い神奈川県(72.6%)の格差はなんと47ポイントもある。看護職員が不足する大都市圏の住民は、十分な看護を受けられないのではないか。そんな心配がつきまとう数値だ。