先日、20年にわたって不倫関係にあったことが発覚した落語家・桂文枝と演歌歌手・紫艶。ベッキー、宮崎謙介元衆議院議員に続く落語界の大物のスキャンダルは大きな話題となったが、さらに紫艶の不可解な行動が波紋を呼んでいる。
2月の発覚以降、文枝が謝罪会見を開き、紫艶は芸能界引退を宣言するなど、騒動は収束するかに見えた。しかし、3月4日に紫艶がフェイスブック上に全裸でソファに座る文枝の写真を公開。文枝が長年司会を務める『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)のロゴが入ったクッションも映り込んだ生々しい写真は、2日ほど閲覧できる状態が続き、その後アカウント自体が削除された。
紫艶はスポーツ紙の取材に対して「15年以上前に、文枝のマンションで撮影した」「携帯電話を使って、数日前に本名で新しくフェイスブックを立ち上げた時に、写真が流出したのかもしれない」「流出は意図的ではない」と答えており、現在は携帯電話に保存されていた文枝の写真をすべて消去したという。
しかし、流出経路が不自然なことから「文枝はリベンジポルノの被害に遭ったのではないか」との声も浮上している。近年“新たな犯罪”として注目を集めるリベンジポルノだが、今回の紫艶の行為は該当しないのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの榎本啓祐弁護士は、以下のように解説する。
「平成26年11月に制定された『私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律』(以下、『リベンジポルノ法』)では、いわゆるリベンジポルノについての刑事罰が定められています。
リベンジポルノ法で処罰の対象とされている行為のひとつとして、(1)衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激する人の姿態が撮影された画像を、(2)第三者が撮影の対象とされた者を特定することができる方法で、(3)電気通信回線を通じて不特定又は多数の者に提供する行為が定められています。
このような行為をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が定められています。
今回、紫艶さんはフェイスブックに桂文枝さんの全裸画像を掲載してしまったとのことですが、フェイスブックに画像を掲載する行為は、上記(3)の『電気通信回線を通じて不特定又は多数の者に提供する行為』に該当するものと考えられます。
また、仮に撮影された者の容貌が明らかであり、それが文枝さんと特定できるものであれば、(2)の『撮影の対象とされた者を特定することができる方法』であると考えられます。また、(1)については掲載された画像の内容によって判断されますが、全裸の画像が掲載されていたのであれば、刑事罰の対象となる可能性があります」
「操作ミスで掲載」なら犯罪にならない?
ただし、このような犯罪には「過失犯の規定がなく、故意犯のみが処罰の対象となる」(榎本弁護士)という。
「例えば、紫艶さんの画像掲載がわざとではなく、なんらかの操作ミスによるものである場合は、処罰の対象にはなりません。
またリベンジポルノ法では、撮影された者が、第三者が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾したものを除く趣旨の例外が定められているため、文枝さんが公開されることを認識した上で撮影を承諾していた場合は、犯罪は成立しないものと考えられます。
なお、リベンジポルノ法においては、性交類似行為などの画像が撮影者自身によって公開されることは要件となっておらず、また、画像の入手方法に制限はありません。
したがって、他人から提供された性交類似行為などの画像を自ら公開した場合も、刑事罰の対象となる可能性があります。『ほかの人が撮影した写真だから、公開しても自分に責任はない』というわけではないため、注意が必要でしょう」(同)
知名度や世間への影響力を考えると、文枝が世間に公開されることを容認して写真撮影に応じていたとは考えにくい。
誰もがスマートフォンを持ち、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を操る時代だからこそ、思わぬ“私怨”には注意したいところだ。
(文=編集部、協力=弁護士法人ALG&Associates・榎本啓祐弁護士)