新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は16日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象を全国に拡大。政府は平日の外出自粛などを呼びかけ、東京都など一部自治体は特定の業種に対する営業自粛を要請。国内の新型コロナウイルス感染者は1万1496例、死亡者は277名に上っている(22日現在)。
肺炎で先月死亡した志村けんさんの例をはじめ、石田純一や宮藤官九郎、黒沢かずこ(森三中)など、芸能界でも感染者が相次ぐなか、女優でタレントの岡江久美子さんが23日、新型コロナウイルスによる肺炎のため死去した。
岡江さんは今月3日に発熱し、医師から4~5日様子をみるように伝えられ療養していたが、6日に容体が急変。病院に救急搬送されて入院し、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルスの感染が確認されていたという。産業医は語る。
「3月に亡くなった志村さんも、病院に搬送され肺炎と診断されてから、PCR検査を受けて陽性が確認されるまで、4日かかっています。岡江さんも医師から4~5日様子をみるように言われて療養していた途中で容体が急変し、検査でコロナ感染が確認されたということですが、厚生労働省の『4日待機ルール』に則ったために、手遅れになってしまった可能性があります。つまり“検査の遅さ”が、不幸な事態を招いたのではないでしょうか。
現在、医師や保健所が必要と判断した場合にPCR検査が受けられることになっていますが、発熱や頭痛などの症状があっても、まず数日間は自宅療養で様子を見るように言われるケースが多く、かなりの重症でないと検査が受けられないのが現実です。これは国の方針でそうなっているのですが、こうした検査抑制策が、かえって重症者を増やして医療崩壊を招きつつあるという指摘は、すでに医師などの専門家からも数多くなされています。実際に初期の段階でドライブスルー検査などで国民に積極的に検査を受けさせる方針をとった韓国では、すでに一日当たりの新規感染者数は10~20人ほどで、事実上終息状態にあります」
4月20日付「朝日新聞デジタル」の記事で、医師の鎌田實氏は次のように指摘している。
「感染の初期においては、医療崩壊を防ぐためだった検査の抑制方針が、今は逆に医療崩壊を加速させています。スピード感を持って検査できるようにしないと、もはや院内感染は防げません」
岡江さんの死去を受け、改めて国の「PCR検査抑制」の方針が議論を呼ぶ可能性もある。
(文=編集部)