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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

「Go To」東京外しの強行で菅官房長官が窮地に?小池知事と対立、安倍首相とも不仲説

文=神澤志万/国会議員秘書
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菅義偉官房長官(写真:つのだよしお/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 九州を中心にした「令和2年7月豪雨」について、首相官邸や国土交通省が被害状況を公表していますね。今回の豪雨で国内の土砂災害が580件を超えたそうですが、熊本県では被害が大きすぎて調査が進んでおらず、今後も増える可能性があるそうです。

 国交省によると、熊本・鹿児島の両県に大雨特別警報が出た7月4日から21日午前7時までに確認された土砂災害は33府県で計584件、このうち304件が九州に集中しています。

 被災されたみなさまには、お見舞い申し上げます。今はインターネットで募金やふるさと納税の支援金も気軽に手続きできるので、読者のみなさまはぜひチェックしてくださいね。

「Go To」開始の裏で都知事と官房長官が対立

 今回の豪雨の規模の大きさに愕然とし、早急に対応策を進めていかなければ……と決意を新たにしている国会議員はたくさんいます。そんな中、政府の観光支援策「Go To トラベル キャンペーン」が始まりましたね。

 国民はもちろん、多くの自治体の首長たちから、新型コロナウイルス感染拡大の第2波が押し寄せてきている中でのスタートに異論が出ていたのは、ご存じだと思います。結局、キャンペーンから東京都を「除外」することで、予定通り行うことになりました。

 この決定が発表される7月16日の数日前から、小池百合子都知事は「都内の感染者数が増え続けているので、キャンペーンについてはよく考えていただきたい」と政府へ圧力をかけていました。7月に入って、コロナ感染者は他の大都市でも増え続けていますが、なんか数字が操作されている感じがしなくもないですよね。

 外出自粛による経済へのダメージをこれ以上増やしたくないのはわかりますが、かといってみんなが出歩いては、感染が広がるのは確実です。小池知事は安倍晋三首相と「出来レース」的にキャンペーンの延期を狙っているのかなと神澤は見ていたのですが、東京だけ除外してのスタートだったので、「そうきたかー」と驚きました。

 小池知事は安倍首相とはコミュニケーションが取れるけど、菅義偉官房長官とは敵対しているのかもしれませんね。菅官房長官はコロナ感染の再拡大について「圧倒的に東京の問題」と言ってしまうくらいですし。安倍首相との不仲も以前から伝えられていますから、推して知るべしというところでしょうか。

 一方で、小池知事は政府に圧力をかけて強引に「東京除外」を勝ち取ったはずなのに、うれしそうじゃないどころか「東京だけ外された」的なことを言うのは、相変わらず一貫性がないですね。

 でも、手法はアッパレ! です。状況を見極め、どうすれば都知事としての存在感を打ち出せるかを常に考えているし、その嗅覚は素晴らしいと思います。思えば、最近の小池知事は、明らかに首相の座を狙っていますよね。「自分が初の女性首相になってみせる!」という気迫が伝わってきます。

 正直、永田町では、被災地の支援やコロナの休業支援より解散総選挙に関心が移っているのは情けないですが、それが永田町というところです。小池知事的には都政から国政に返り咲くタイミングを考えると、来夏の東京都議会議員選挙後は避けたいかもしれませんね。

 現在の都議会は、小池知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が与党ですが、ほとんどが「小池人気」で当選した議員。次の選挙では、自民党が与党に返り咲く可能性も高いと見られています。

「反小池」の自民党が与党になれば、予算を通すこともできなくなる可能性があります。そうなってから国政に鞍替えでは、逃げ出すように見られてしまい、総選挙で当選できない可能性もありますよね。

 現在の圧倒的な人気を背景に「国政に返り咲くためには、9月の解散総選挙は早すぎるけれど、11月ならいいかもしれない」と考えながら、都政を行っているのでしょう。

永田町で「10月総選挙」説が消えない理由

 さて、実際のところ、解散総選挙はいつになるのでしょうか。自民党内の秘書たちの発言を聞いていると、菅官房長官の周辺の議員の秘書たちは「ないよ~」とあっけらかんと言うのですが、二階派の秘書たちは「常在戦場。準備は怠るな」と急ピッチで街なかのポスターを貼り替えたり、新しく発注したりしています。確かに衆議院は「常在戦場」ですから、準備は進めておいた方がいいと思います。

 ただ、コロナの影響で景気が落ち込む中、国民には改革を望まない声が多いと聞いています。新しいリーダーに期待するよりも、現状維持の方が安心だという心理なのでしょう。報道機関の調査で安倍内閣の支持率が戻ってきていることからも、それがうかがえます。そのため、「安倍さんなら、さっと解散総選挙をしそうだよね」との声も多く、今も「9月解散・10月総選挙」の可能性は消えていません。

 しかし、神澤は、今は選挙よりも水害・コロナ対策の方が重要と考えています。特に、コロナ関連の休業支援・給付金制度について、厚生労働省の問題意識が今も薄いことに憤りを感じています。

 国会議員の事務所には、給付金の申請について事業主の協力を得られず、申請をあきらめたり途方に暮れたりする労働者からの相談が続々ときています。大半の中小企業の事業主は、税金の滞納や厚生年金や労働保険の未加入などの発覚を恐れて協力しないのです。そればかりか、「申請をするな」とハラスメントをする事業主までいる始末です。申請に協力した神澤に向かって「こんな情報を流しやがって!」と悪態をつく事業主もいました。

 労働者のみなさんにとって、たとえ数万円の休業補償であっても死活問題です。また、月給制でも事業所の休業で給料が払われていないケースなどもあります。給付金は、こうした困窮者を救うための制度です。事業主の協力がなくても申請は可能ですから、あきらめないで相談してほしいと思います。

 ただし、一般の申請より1カ月以上も支給が遅れてしまうそうで、これもおかしいですよね。どちらかといえば、事業主の協力が得られない方々の方が困っているはずなのに。

 しかも、労働局から事業主に確認の連絡がくると、発覚+罰則を恐れた事業主が「休業させてなんかいない」とか「そういう人は働いていません」とか言うこともあるようです。そうなれば支給されません。

 大阪府吉村洋文知事の「公務員は給料が減らないから困っていない」という発言が話題ですが、本当にその通りで、厚労省の職員に現状をいくら説明しても反応が鈍いです。自分に置き換えて考えられないのですね。

「神澤さんは、誰のために怒っているのですか?」と聞いてくる職員もいます。確かに怒っています、この制度の理不尽さに。でも、特定の人のためだけに怒って改正を求めているのではありませんよ。「そんな想像力しかない人たちがつくった制度ですもんね」と脱力してしまいますが、怒り続けないと制度は変わりません。

 私も制度の改善をがんばっていきますので、みなさまは引き続きコロナの感染予防をよろしくお願いします。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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