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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

非正規救済のための「休業支援金・給付金」制度がひどすぎる…事業主が拒否すれば却下

文=神澤志万/国会議員秘書
非正規救済のための「休業支援金・給付金」制度がひどすぎる…事業主が拒否すれば却下の画像1
加藤勝信厚生労働大臣(写真:つのだよしお/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 全国の豪雨災害で被災されたみなさまに、心よりお見舞いを申し上げます。国会は6月17日に閉会しましたが、豪雨災害や新型コロナ対策でいろいろ動いております。

 与野党で「閉会中も審査を毎週開きましょう」と申し合わせた通り、毎週水曜日に委員会が開かれています。7月15日にもテレビ入り(NHK中継)の衆議院予算委員会が行われる予定ですが、首相出席の集中審議ではなく、政府側は西村康稔経済再生担当大臣のみの出席で、ほかは有識者3名のみによる参考人質疑です。

 閉会直後は解散総選挙の話題にも熱が入りましたが、豪雨災害とコロナ感染者の増加を受け、解散説は下火になったように感じます。10月25日の補欠選挙に合わせての解散総選挙は非常に困難でしょうね。

 永田町では、9月は内閣改造にとどめて、解散はアメリカ大統領選挙(11月3日)後、11月中に行われるだろうと言われ始めています。

新たな「休業支援金・給付金」の不親切な設計

 永田町には、選挙以上に大事なことがたくさんあります。まずは、コロナと甚大な豪雨災害の対策ですね。

 コロナの影響で景気が悪くなり、ただでさえ生活が苦しいのに、今回の被災で農業へのダメージもあります。安倍晋三首相も被災地へ入りましたが、正直パフォーマンスにすぎません。「災害復旧の予算と予備費を合わせて4000億円を上回る予算を活用して、対策パッケージを早急に取りまとめる」と言っていますが、本当の意味で必要な救済措置を用意してくれるのでしょうか。被災地のみなさまの心が折れないことを祈るばかりです。

 それにしても、7月に入ってコロナの感染者が増え続けていますね。PCR検査の件数が増えていることもあるのでしょうが、心配です。10日からは、コロナの影響で休業を余儀なくされた労働者のうち、事業主から休業補償を受けられなかった方を対象にした「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の受付がスタートしました。

 神澤も「やっと始まったか……」と待ち望んでいた方々に情報提供したのですが、喜んだのもつかの間、この申請手続きがひどいものです。よく読んでみると「ふざけるな!」の一言です。

 そもそも、真っ当な事業主は「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」制度を活用して、従業員に休業の補償をしています。手続きは煩雑なのですが、特例で日額の上限は1万5000円になっていて、事業主への還付率も100%なので、経費の面では損がないように配慮されています。

 一方で、7月10日から始まった制度は、事業主からの休業補償を受けられなかった人が申請できる画期的なものだったはずなのに、申請書類には事業主の記入欄があるのです。事業主に記入してもらえなかった場合、その旨を記載すれば申請はできるようですが、労働局が事業主に問い合わせて「休業はコロナによるものではない」と言われれば、却下されてしまうそうです。

 本来は、雇用保険に加入していないアルバイトやパートなど非正規雇用のみなさまを救済するための制度なのですから、もっと使い勝手のいいものにしてほしかったですね。

 事業主のみなさまには、以下の3点についてご理解いただきたいです。

(1)雇用調整助成金の申請に比べ、事務負担が軽いこと

(2)労働者の口座に直接振り込まれるので、事業主側に経理処理の負担が必要ないこと

(3)休業補償をしていなかったことに対しての罰則がないこと

 特に(3)の罰則を恐れて、協力しない事業主がいるようです。神澤のもとにも、事業主に申請を拒否されたとお困りの方からご相談をいただいています。この3つを説明すると協力してくれたという方もいました。

 今からでも遅くありません。厚生労働省はすぐにでも制度設計を変更し、申請時の「事業主の記入」欄を削除すべきです。雇用関係の有無の確認や事業所の特定に必要な労働保険番号や雇用保険適用事業所番号は、事業主でなく労働者でも記入できます。

当事者意識に欠ける厚労省のずさんな対応

 神澤は、実際に厚労省のコールセンターに電話をしました。以前よりはつながるようになっていて評価できるものの、電話口に出た担当者は何を聞いても「確認してまいりますので、保留にさせていただきます」という返事ばかりです。

「事業主からの協力を得られず、生活に困窮している方々が実際にいる」と訴えても、「理解してがんばっております」。そもそも、理解があれば「事業主に記入してもらえない場合は、申請は受け付けられません」なんて回答はしないでしょう。

 神澤だから、そこで食い下がって「この制度は、そもそも休業補償を受けられなかった労働者が対象なんだから、事業主に記入してもらえなくても申請できる方法があるでしょ?」と聞けたんです。しかし、しばし保留後の回答は「その場合は、書類の下のほうにその旨を記入して申請してください。こちらから事業主へ問い合せし、事業主が拒否した場合は支給されません」でした。

 ちなみに、事業主が記入する部分のある「支給要件確認書」には、そのような事情を説明する欄がありません。おそらく「下段の空欄に書いておけ」ということなのでしょうが、当事者意識がまったくない政府の対応には頭にきますね。

 なんとか制度の変更をしてもらえるよう、しつこく言い続けるつもりです。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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