少子高齢化の進展が日本にとって最大の社会問題となり、医療費は大きな財政負担となっている。では、一人にかかる年間の医療費はどの程度なのだろうか。
厚生労働省が発表した「2014年度医療費の地域差分析」から、「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」、両者合算の医療費について、都道府県別に一人当たりの医療費が多い都道府県と少ないそれの上位5位を取り出してみた。さらに、各項目については「入院」「入院外と調剤」「歯科」とその合計で上位5位を取り上げた。
その結果、非常に興味深い傾向が見られた。まず、特徴的なのが「歯科代」だ。歯科代が高いのは、国民健康保険でも後期高齢者医療制度でも、大阪府がトップ。さらに、同様に兵庫県と広島県も国民健康保険と後期高齢者医療制度で上位5位に入っている。
一方、傾向が明らかなのは、医療費が多い都道府県としては九州と四国の県が多く、逆に少ない都道府県としては関東の都県が多いということ。また、沖縄県も医療費が少ない。では、各項目ごとにみてみよう。
市町村国民健康保険:都道府県別1人当たり実績(単位:千円)
(1)医療費が多い
入院 入院外+調剤 歯科 合計
鹿児島県 181 香川県 209 大阪府 29 島根県 406
大分県 180 広島県 207 広島県 28 山口県 406
島根県 179 山口県 205 岡山県 27 香川県 400
佐賀県 176 島根県 204 兵庫県 27 大分県 396
長崎県 176 岡山県 198 香川県 27 佐賀県 394
(2)医療費が少ない
入院 入院外+調剤 歯科 合計
東京都 101 沖縄県 136 沖縄県 17 沖縄県 284
愛知県 102 茨城県 161 青森県 20 茨城県 286
茨城県 103 群馬県 164 福井県 20 東京都 291
埼玉県 106 東京都 165 栃木県 21 栃木県 297
千葉県 107 千葉県 167 鹿児島県 21 千葉県 298
国民健康保険は、入院で医療費が多いのは島根県を除くと、すべて九州。一方、入院外+調剤では香川県を除くとすべてが山陰・山陽地域となっている。厚労省によると、「鹿児島県や佐賀県では平均在院日数が長く、大分県では新規入院発生率が高い」としている。
一方、医療費が少ないのは、入院では愛知県を除くとすべて関東、入院外+調剤でも沖縄県を除くとすべて関東となっている。
後期高齢者医療制度:都道府県別1人当たり実績(単位:千円)
(1)医療費が多い
入院 入院外+調剤 歯科 合計
高知県 685 広島県 501 大阪府 48 福岡県 1164
福岡県 654 大阪府 479 広島県 41 高知県 1129
沖縄県 618 福岡県 470 福岡県 40 北海道 1079
鹿児島県 605 愛知県 465 東京都 39 長崎県 1072
北海道 604 兵庫県 460 兵庫県 37 広島県 1053