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TPP、日本では批准されない?される?協定文の7割が未翻訳のまま国会審議進む

文=小倉正行/フリーライター
TPP、日本では批准されない?される?協定文の7割が未翻訳のまま国会審議進むの画像1「パリ協定」批准へ、衆議院で承認案可決(Natsuki Sakai/アフロ)

 現在、臨時国会でTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の審議が行われている。安倍政権は、米大統領選挙投票日の11月8日までの衆議院通過を目指していたが、2度にわたる山本有二農林水産大臣の暴言や強行採決などに対する批判の強まりで延び、結局10日になって可決、参院へ送付された。

 国会に提出されているのはTPP承認案・関連法案だが、同法案は以下をTPP協定関係法律整備法案としてまとめたものである。

・関税暫定措置法の一部改正
・著作権法の一部改正
・特許法の一部改正
・商標法の一部改正
・医薬品医療機器法の一部改正
・独占禁止法の一部改正
・畜安法、糖価調整法及び機構法の一部改正
・地理的表示法の一部改正

 8400ページに上るTPP協定文のうち、日本語訳されているのは2400ページであり、全体の72%は翻訳されていない。この点は、野党から強く批判されている。
 
 問題は、TPPと国内関連法の批准要件である。政府は「法律案のいずれの改正事項が欠けても、我が国として、TPP協定の締結のために必要な寄託者への通報を行う考えはない」(3月18日閣議決定の答弁書)とし、衆院TPP特別委員会でも「関連法案の成立は条約の批准要件か」との問いに対して「御指摘のとおり」と答弁している。

 要するに、TPPと国内関連法の両方の成立がなければ、日本としてTPP協定を批准したことにならない。これは日本に限ったことではなく、TPP加盟国12カ国すべてに当てはまる。

臨時国会の審議に影響

 条約と法律では、国会での取り扱いが大きく異なる。それは日本国憲法で定められている。憲法61条では、以下の通り条約は予算と同じ扱いをすることが決められている。

「参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」

 いわゆる30日規定である。要するに衆議院で条約を議決した場合、30日後には成立するという規定である。安倍政権はこの規定を利用して、条約たるTPPの衆議院議決の30日後に成立させるために、11月30日が会期末となっている臨時国会の会期延長を検討している。

 ところが、国内関連法は法律であり、条約とは憲法上の取り扱いが異なる。憲法59条では、次のように定められている。

「衆議院可決案の受領後60日以内に参議院が議決しない場合、衆議院は参議院が法案を否決したとみなすことができる」
「衆議院議決案を衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律となる」

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