際限のない権力の暴走を許すテロ等準備罪(共謀罪)法案を、政府は国会に提出しようとしている。各地で反対運動が始まっているなかで3月7日、「共謀罪反対百人委員会」の結成記念集会が衆議院第一議員会館内で開催され、約180人が参加した。
百人委員会結成を呼び掛けたのは、今年1月に発刊された『「共謀罪」なんていらない!?』(合同出版)の著者のうち、ジャーナリストの斎藤貴男氏、刑法学者の足立昌勝氏(関東学院大学名誉教授)、弁護士で日弁連共謀罪法案対策本部事務局長の山下幸夫氏、同じく弁護士の海渡雄一氏の4人。
賛同者は集会当日までに190人、さらに1週間後の3月14日までに約270人と続々増え続けている。集会では、学者、弁護士、ジャーナリストなどがそれぞれの立場からこの法案の問題点を指摘した。
冒頭の挨拶に立った山下氏は、あらためて法案提出を狙う政府の不備、いいかげんさを指摘した。
「これまで、テロ防止のためにテロ等準備罪は必要だと政府は主張し続けていたのに、政府原案には『テロ』という文言が法案に示されていないことが発覚しました。つまり、テロ防止のためだと国民をだまして法案成立を強行しようとしていたのです。話さず黙示だけでも、警察が共謀・計画があったと判断すれば人を逮捕できるのが共謀罪で、市民団体、労働団体などを弾圧する“武器”を警察に与えることになる」(山下氏)
共謀罪は、犯罪が実行されず、さらに客観的な証拠がなくても、捜査当局が犯罪の合意や計画があったと判断すれば、逮捕や家宅捜索などの強制捜査に着手できる。頭の中で考えた、あるいは頭で考えたと警察が判断すれば、誰でも逮捕できる危険な法案として、過去3回も廃案になってきた。
黙示の合意や、計画などで犯罪が成立するというのだから、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でのやりとりすらも危ない。青山学院大学の新倉修教授は、次のように法案の本質を表した。
「春が来た いいね!も言えぬ 共謀罪」
「連絡も スマホはやめて 共謀罪」
「刑事さん 耳をそばだて 共謀罪」
悪い冗談のようだが、この法案が成立すれば、フェイスブックでの「いいね」やツイッターでのリツイートも犯罪の合意にされかねない。