3月12日、民進党の定期党大会が行われ、代表の蓮舫氏は「2030年代の原発ゼロ」という目標の前倒しについて基本法案を作成する方針を表明した。また、次期衆議院議員選挙に関して「政治人生すべて懸け、民進党で政権交代を実現したい」と語ったことが広く報じられた。
民進党のエネルギー政策については、安倍晋三政権との差別化を図る意味でも脱原発の推進が基本路線だが、「30年代」あるいは「30年」と定める原発ゼロ方針には、最大の支持母体である日本労働組合総連合会(連合)の反発もあり、そのゆくえが注目されていた。
「30年代」から「30年」に目標を前倒ししたい蓮舫氏に対して、傘下に全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)を抱える連合が「政権担当力に逆行する」と猛反発する構図だ。2月には、連合に配慮するかたちで蓮舫氏が党大会での原発ゼロ方針の具体的な表明は断念するという報道もあったが、結果的には打ち出されたことになる。
これについて、「連合は蓮舫氏にまた騙されたといっていい」と語るのは、経済評論家の渡邉哲也氏だ。
「『30年に原発廃止、を撤回する』で一度は話をまとめた連合の顔に泥を塗った。約束を反故にして党大会で言及しただけでなく、『法案までつくる』と明言したことは完全な裏切り行為。支持母体をないがしろにして独断で物事を進める先には、連合の民進党離れもあり得るだろう。
すでに、民進党内でも動きが出始めている。党大会後、最大会派の旧維新グループが、蓮舫氏と原発政策で同調する江田憲司氏を中心とするグループと松野頼久氏を中心とするグループで分裂したのだ。
そもそも、連合はかねて共産党を含む野党共闘に対して反発しており、最近は自民党寄りの姿勢も見せ始めている。一方、民進党は各県連や支部において連合や労組の施設を間借りしているケースがあり、仮に連合が民進党を見限れば追い出される可能性もあるだろう。
連合は、旧民社党を支持する労働団体である全日本労働総同盟(同盟)と、旧社会党を支持する労働団体である日本労働組合総評議会(総評)の2大団体が合流するかたちで1989年に誕生した。一方、連合に加盟していない全国労働組合総連合(全労連)は共産党系の労働組合。連合と全労連は対立してきた歴史がある上、旧民社党は反共産主義をうたっていた。そのため、昨年の民共共闘の時点から連合は強く反発しており、大きなアレルギー反応を示す人が多かった」(渡邉氏)
蓮舫氏と連合といえば、昨年10月の新潟県知事選挙をめぐって一悶着あった。連合新潟が与党系候補を支援し、民進党は「自主投票」とする中、蓮舫氏が突如野党系候補の応援演説に駆けつけ、連合の反発を招いていたのだ。