4月29日、30日に千葉県千葉市の幕張メッセで「ニコニコ超会議2017」(以下、ニコ超)が開催された。2012年に初開催されて以降、ニコ超は年を追うごとに規模を拡大してきた。ゴールデンウィークの風物詩ともなっているニコ超は、今年で6回目を数え、来場者は2日間で15万人を超える。もはや国民的イベントといえるまでに成長している。
ニコニコ動画(以下、ニコ動)は、インターネットメディアとしては当初から政治コンテンツに力を入れてきた稀有なメディアであり、各省庁の大臣会見をはじめ民主党(当時)が実施した事業仕分けなども積極的に生配信してきた。ニコ動では、視聴者から集められた質問をユーザーに代わって質問するニコ動の政治記者・七尾功氏が人気になり、ユーザー間では「770」と表記されて親しまれている。
とっつきにくい政治という分野を開拓し、人気コンテンツに成長させたニコ動の訴求力に目を付けた各政党は、ニコ動に公式チャンネルをこぞって開設。なんでも利用する政治家たちが、そんな多くの若者たちを魅了するニコ動主催イベント・ニコ超を見逃す手はない。ニコ超では、これまでいくつもの政党がブースを出展し、あの手この手でユーザーと直に触れ合い、支持の拡大に努めてきた。
特に、2009年の政権交代で野党に転じた自民党は、インターネットでの広報戦略に力を入れるようになり、自民党ネットサポータークラブ(J-NSC)を発足。J-NSCが活動を開始すると、ネット上では強固な自民党支持層が形成されていった。
彼らの力もあり、自民党は12年に政権与党に復帰。それだけに、安倍晋三首相をはじめ石破茂幹事長(当時)といった党重役はニコ超の会場に頻繁に足を運んで“営業活動”を怠らなかった。
それは、自民党以外の政党でも変わらない。15年こそは統一地方選挙の準備のために各政党は超会議の準備が間に合わず大幅に規模は縮小されたが、ニコ超が普段は政治に興味を示さない若者たちを取り込む絶好の場であることは、どの党も認めるところだった。
政党ブースは大幅に縮小
ところが、今年のニコ超には異変が見られる。政党ブースは大幅に縮小され、自民党・公明党・民進党の3党だけしか出展していなかった。ネットをうまく取り込んでいる自民党はブースこそ出展しているものの、例年ほどには力が入っていない。