日本銀行のマイナス金利政策で、銀行に貯金してもお金がちっとも増えないということが明らかになりました。そんななか、「将来のことを考えれば、投資も兼ねることができるので、大きく増える可能性がある個人年金はどうですか?」と勧められることがあるかもしれません。
今、民間で販売されている個人年金には主に2つのタイプがあります。ひとつは、「今、月々○○円払えば、将来○○円を必ずもらえる」という確定給付タイプ。もうひとつは、「あらかじめ払ったお金が、運用次第で増える可能性もあるが、減る可能性もある」という変額タイプ。
前者については、運用利回り(予定利率)が低い今の場合、加入してもあまり増えない上にインフレにも弱いので、あまり意味がありません。心配をひとつ増やすだけなのでこれからの加入はやめたほうがいい、ということを前回の記事で書きました。
では、後者の「増えるかもしれない」変額タイプの個人年金はどうでしょうか。「運用次第で大きく増やすことも可能」というのがセールスポイントの「変額個人年金」は、預かったお金を株や債券などで運用する金融商品です。
日本では1999年から売り出されましたが、この商品が爆発的に売れ始めたのは、2002年10月に銀行で保険の窓口販売が解禁になってから。保険商品と投資の要素を併せ持った年金として、大々的に売られました。
その仕組みを、簡単に見てみましょう。変額個人年金も生命保険の一種なので、生命保険と同じように、支払った保険料から保障料(掛け捨ての死亡保障や医療保障)と保険会社の運用経費が差し引かれます。そして、残ったお金を運用していきます。
普通の生命保険は、このお金を一定の運用利回りで運用しますが、変額個人年金は投資信託などの投資商品で運用します。この点が、普通の生命保険や年金と大きく違うところです。
そのため、運用がうまくいけば大きく増える可能性がありますが、逆にうまくいかなければ目標を達成できない可能性があります。そして、運用した結果増えた(減った)お金を、将来に年金としてもらっていきます。
前回の記事では、従来型の個人年金の運用利回りが低すぎて、「これから加入しよう」という人にとっては、将来の貯蓄としてはあまりよくないと書きました。では、増える可能性がある変額個人年金であれば、老後の備えに有効なのでしょうか。
結論からいえば、答えは「ノー」です。
預けた1000万円が25年で半額に激減?
アメリカから入ってきた変額個人年金ですが、日本の変額個人年金には、本家の商品に比べて手数料が高いという難点があります。
たとえば、将来のために1000万円を変額個人年金で預けたとしましょう。もちろん、このお金は運用次第で増えることもあれば減ることもあります。しかし、運用環境がずっと同じまま続いたら、どうでしょう。一般的にはあり得ないことですが、ここでは株も為替もあらゆる投資商品の価格が現状維持のまま、25年たったと仮定します。
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