――集団的自衛権に基づく自衛隊の南スーダン派兵についての見解は。
村主 日本会議は、「新憲法の大綱」でも「国際協力」の項を立て、日本が国際社会に自主的に対応していく必要性を説いてきました。
南スーダンでの活動は、PKO(国連平和維持活動)の一環であり、武力行使を目的とした「海外派兵」ではありません。国際社会からの要請を受けて、民主党政権下で派遣し、5年間の期間を経て撤収。筋は通っています。
集団的自衛権を一部容認した法改正も、自衛隊は、何も世界の果てまで行って米軍と共に戦うわけではありません。「平和安全法制」の整備により、平時からの日本の安全保障は一歩前進したと考えています。
憲法改正の署名、すでに922万人が賛同…
――憲法改正の実現に向けて、どんなタイムスケジュールを描いていますか。
村主 衆議院議員の任期満了は平成30(2018)年12月です。我々としては、憲法改正を容認する議員勢力が3分の2を有した以上、ただちに原案をまとめ、国会で発議し、国民に憲法改正の選択肢を与えてほしいという立場です。
与党内には「憲法改正は政権で取り組むべき課題ではない」という意見もあります。憲法改正はまさに政府ではなく「国会で取り組むべき課題」であると考えています。
また、「憲法より、あくまで経済優先」という意見もあります。しかし、憲法と経済は国民生活にとって最重要課題であり、どちらかを優先するというものではありません。現在、民進党は安倍政権のもとでの憲法改正には応じないとしています。この姿勢は、政局で憲法を考えている証左です。
そもそも、憲法は国家の基本ソフトでOS(オペレーティングシステム)のようなものです。その基本ソフトに不具合が生じたときは、国会に修正する義務があると考えます。
安倍内閣の支持率が低下していることで憲法改正を困難とする声もあります。内閣支持率と改正原案提出は、直接は結びつきません。誰が首相であっても、憲法改正を政局に結びつけることなく、できるだけたくさんの政党が賛同できる改正案を模索し、改正原案を憲法審査会に提案してほしいと願っています。
日本会議は、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」に呼応して、憲法改正に関する1000万人賛同者拡大の運動を行っています。現在は約922万人の賛同者が集まっていますが、これは国会に提出する請願目的の署名ではなく、国民投票に向けて地域で賛同の声がけを行う際のネットワークづくりの活動として、多くの方々が署名に協力しています。
衆議院議員の任期が終了する来年12月までの国会発議・国民投票を想定しながら、今後もより広い賛同を得るための国民運動を進めてまいります。
日本会議は大日本帝国憲法復活を狙っている?
――日本会議の最終目標について、「日本国憲法の無効論を唱え、大日本帝国憲法復活を狙う」ともささやかれていますが、これについてはいかがですか。
村主 前身団体の「日本を守る会」「日本を守る国民会議」の時代から、「無効論」も「帝国憲法復活」も、方針に掲げたことは一度もありません。