中国が反日教育に力を入れるワケ
――日本人が気になるのは日中関係ですが、中国ではいまだに反日的な教育が行われているそうですね。日本人を「日本鬼子」という蔑称で呼ぶ反日教育は幼稚園から行われ、抗日をテーマにした絵画コンクールもあることが本書で伝えられています。これを続けていれば、中国人の反日感情はいつまでたっても収まらないのではないでしょうか。
東京・両国の「江戸東京博物館」に行ったときに、「文明開化」という単語がとても強く印象に残りました。日本は西洋文明の「侵入」を心から受け止めて素直に勉強したのではないでしょうか。日本が先の大戦からスムーズに復興することができたのも、そうした精神があるからだと思います。
しかし、中国共産党は民衆を洗脳するような教育を行い、生活に苦しむ農民を集めて外国人やキリスト教信者を襲った「義和団事件」を美化する運動をするなど、西洋文明を排外する動きを続けました。
独裁国家は、常に外部に敵をつくって内部を団結させ、民衆の不満を外部に移管させます。今、北朝鮮が反米運動を展開して国内の不満をアメリカに移していますが、中国も同様です。1949年の建国後、最初はアメリカ帝国主義を仇敵とし、次に旧ソビエト連邦に反目して「ソ連こそ敵である」と宣伝しました。
その後、天安門事件などもあり、反日教育に力を入れて、学校の教科書だけではなくニュースなどでも日本を恨むように煽りました。そういった環境下ですから、中国人は簡単に信じてしまいます。中国共産党が必要とするならば、中国人は「今日は反日」「明日は反韓」「あさっては反米」……それからフィリピン、インド、ベトナムと、外国への恨みや憎しみの連鎖を永遠に続けていくでしょう。
それは、中国共産党が党の安定を維持するための手段でもあります。そうした構造や感覚は、おそらく中国に長年暮らしていないとわからないと思います。
――ありがとうございました。
後編では、中国で人気の「抗日ドラマ」や中国共産党の「3つの自信」と「7つの禁句」などについて、さらに辣椒氏の話をお伝えする。
(構成=長井雄一朗/ライター)