まず、結党にあたって必要なのは人材である。希望の党に合流したものの、公認が得られそうになかったり、思っていたよりも理念や政策が違うために迷っていたりするリベラル派も多い。
「民進党の綱領、理念、政策であれば一緒に戦える。もし一緒にやりたいということであれば、どなたであれ排除はしない」(枝野氏)
希望の党の小池百合子代表は「排除の論理」を明確にしているが、それとは一線を画したかたちだ。党名を決めた理由については、「権力はなんでもできるわけではない。憲法というルールに基づいて権力は認められている。そうした姿勢を大事にする。立憲主義と民主主義は国民生活が立ち直っていく上で大切なことで、この名前を決めました」(同)とのことだ。
民進党の両院議員総会では、総選挙では民進党は立候補者を立てずに希望の党から擁立することが決まったが、立憲民主党の結成によって、民進党は3つに分裂したことになる。希望の党から立候補、立憲民主党から立候補、無所属で立候補というかたちだ。そこで、民進党の選挙資金について質問が飛び、枝野氏は「一定の資金をいただけるものと思う」と答えた。
続いて、筆者が「“背信行為”を行った前原代表や小池代表について、何か言いたいことがありますか」と問うと、「希望の党の政策や理念と異なるので、今回、新たな呼びかけを決意したもので、今あらためてこの間のプロセスについて言うつもりはありません」との回答だった。
実際、民進党内では「前原代表に騙された」「前原代表は確信犯的に我々を騙した」という怨念に近い声が上がっており、「前原くんの政治生命もこれで終わりだな」「小池という“魔女”に魔法をかけられた前原代表には困ったものだ」という見方も出ている。
当然、そうした声は枝野氏の耳にも入っていることだろう。しかし、前原代表への恨み節は一切言わず、リベラル派の新たな門出に向けて「打倒安倍政権」という一点を見据えていた。
希望の党の政策のなかで「脱原発」「消費税増税凍結」はリベラル受けする内容だが、一方で「安全保障関連法や憲法改正への賛同」のほか、優先順位が高いとはいえない「外国人の地方参政権反対」までもが“踏み絵”になっているといわれる。そのため、枝野氏は「残念ながら、(希望の党と)方向性が一緒とは思えない」と前原代表に伝えたという。
「もっとも力強く、安倍政権を打倒する」
立憲民主党の政策についてはどうか。枝野氏は「参加するみなさんと相談した上で」と断りつつ、「原発ゼロはリアリズムであり、工程表を示す」「消費税増税は将来的に負担はお願いすべきですが、今の経済状況では国民の理解は得られない」「憲法については議論は進め、未来志向で考えるべきだが、安倍政権の案は受け入れられない」(同)という三本柱を提示した。