9月28日、民進党の前原誠司代表は党両院議員総会で希望の党との事実上の合流を提案した。
総会前、民進党議員の間には、さぞや悲壮感が漂っているのかと思えば、あちらこちらで談笑する声が聞かれ、辻元清美衆議院議員や枝野幸男代表代行のように顔を引き締めていたのはごく一部だった。ちなみに、白眞勲参議院議員は女性記者に笑顔で「あなたたちも座ったら」と語りかけるなど、フェミニストぶりを見せていた。
緊張感のない議員の中には、「心すでにあらず」なのか、総会中に居眠りをするという、民進党ならぬ“眠進党議員”の姿も見られた。この議員は、みんなが拍手するときだけ眠りながら拍手するという器用な技も披露していた。
民進党議員からは「終わるときはあっけないね」「これからこれから」と笑いながら話す声も聞かれ、緊張感のある総会には見えなかった。民進党が事実上の「解党」を迎えた日とは思えなかったのが実感だ。
「民進党の大安売りだ」とため息をつく議員も
総会では、各議員の功労表彰が終わった後で、前原代表が以下のようにあいさつした。
「私は、『1強多弱』といわれる今の政治状況に忸怩たる思いをもっています。アベノミクスで景気が良くなっていません。大手は儲かったかもしれませんが、サラリーマンの実質賃金は下がり、国民生活は困窮しています。
この延長線上で、日本の将来はない。安全保障法制など憲法違反の法律をつくれば、国家の土台が揺らぎます。許すわけにはいきません。我々は、どんな手段を使っても安倍政権を倒します。身勝手な安倍政権を退場に追い込みたい。
そのため提案をいたしますのが、政権交代可能な二大政党としてのあり方です。これは他党に合流するのではなく、我々が新たなプラットフォームをつくる。みなさん方と議論をし、オールフォーオールとして支え合いの社会をつくることです。
仲間と理想の社会をつくるために、本日大きな決断をしました。そのために名を捨てて実を取り、理想社会をつくりましょう。本日の提案について、みなさん方と一緒に進んでいきましょう」
前原代表のあいさつは、万感の拍手をもって迎えられた。代表提案は次の3点で、満場一致で了承された。
(1)今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す
(2)民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認申請し、「希望の党」との交渉及び当分の間の党務については代表に一任する
(3)民進党は今回の総選挙で立候補者を擁立せず、「希望の党」を全力で支援する
しかし、なかにはため息をつき、できたばかりの政党に飲み込まれることに「民進党の大安売りだ。事実上、党を売ったようなものだ。同じ売るなら、なるべく条件を考えて交渉してほしかった」と憤りを隠せない議員もいた。
総会では反対意見はなかったものの、地域的に異なる環境はどうあるべきか、その他自由党、共産党、社民党などとの連携のあり方、交付金、公認協議の時期、党員サポーターのメッセージの必要性などについて、意見が寄せられた。