衆議院が解散され、10月22日の投票に向けた選挙戦がスタートした。野党第一党の民進党が実質的に解党し、与党の自民党も大きく議席を減らすとみられるなど、政局が大きく動く選挙となるのは間違いない。
そんな大転換点の中心にいるのは、希望の党を立ち上げた小池百合子東京都知事だ。昨年、知事選挙で一大旋風を巻き起こして知事に就任し、勢いそのままに今年7月の東京都議会議員選挙で新党の党首として都民ファーストの会を議会第一党に押し上げた。
その小池氏が、今度は国政を舞台に大暴れしている。だが、小池氏の予想よりも早く衆議院が解散されたため、ドタバタと選挙戦に突入した感は否めない。実際に、候補者の擁立は難航し、公約も急ごしらえの様相を呈している。党首による公開討論でも、安倍晋三首相に「具体的な政策がない」「耳障りの良いことを言っているが、財源が示されていない」などと指摘されている。
サクラが必死の声援
10月12日、小池氏がJR新宿駅西口で演説を行ったので、その様子を報告したい。
11時ごろ、新宿駅西口ロータリーに人だかりができ始めた。希望の党の候補者である松沢かおる氏の演説車の正面に5台のテレビカメラが据えられ、その周囲には報道関係者が陣取っている。
11時10分過ぎ、松沢氏の応援に駆けつけた都民ファーストの会の都議会議員たちが演説を始めた。党の幹部たちではなく都議が応援するという様子は、希望の党の現状がよく表れている。希望の党は、知名度や人気の高い人物が幹部にいないため、遊説は小池氏が自ら行わなければならないのだ。希望の党公式サイトの「遊説日程」を見てみると、小池氏の名前しかない。急造政党の立憲民主党も枝野幸男代表と福山哲郎幹事長の名前しかないが、自民党は幹部役員14人の演説予定が公開されているのとは大きく異なる。
11時30分過ぎ、小池氏が到着。実は小池氏到着の少し前、緑色の服などを身に着けた女性が十数人、大挙して民衆の中に押し寄せていた。その女性たちは、小池氏の演説を聞こうと集まっている人だかりの前方に割り込み、小池氏が到着するや「小池さーん!」「待ってましたー!」と大声を張り上げ、緑色の布を振り回した。明らかなサクラだ。