小池氏は20分強、とうとうと演説を行ったが、中身はかつての大臣時代の自身の実績と都知事として改革を行った成果をアピールするもので、政策などにはほとんど触れなかった。しかも、都知事としてのアピールポイントは、ほとんど議論もせず議会最終日に強行採決した受動喫煙禁止条例のみ。
小池氏は、「都議会の既得権益と戦い、東京オリンピックの会場見直しや築地市場の移転問題に切り込んだ」とは言うものの、都議会関係者の間では、「実際には時間と費用を浪費しただけで、大きな変化をもたらしたとはいえない」との評価が大勢を占める。
さらに、受動喫煙禁止条例についても、あくまでも都民ファや公明党の議員条例であって、都民ファ代表を退いた小池氏が、自分の手柄のように振る舞うことに違和感を持つとの声も多い。
演説中、たびたび自民党の“しがらみ政治”を批判し、「どうですか、みなさ~ん!」と呼びかけると、そのたびに「そのとおり!」「小池さんの言うとおり!」「いいぞー!」と同じメンバーが大声を張り上げ拍手をしていたが、サクラ以外はまったく小池氏に同調する様子はみられなかった。むしろ、小池氏へ懸命に声援を送る面々に対して冷ややかな視線を浴びせている人が多く見られた。演説を聞いていた人からは、「隣にいたサクラらしき女性が『小池さん素敵ねー』『やっぱり小池さんすごいよね』としきりに持ち上げているのがうるさくて、癇に障った」との声もあった。
小池氏のもっとも大きな支持基盤は、主婦層だといわれている。今回の演説でも、サクラはほとんど主婦らしき女性たちだった。数名の男性も懸命に声を挙げてはいたが、主婦層を取り込もうとの方針は明らかだ。そこで、演説を聞いていた女性たちに小池氏の演説の印象を聞いた。
「派手にアピールしているけれど、何をやりたいのかよくわからない」(70代主婦)
「“反安倍・反自民”というのはわかったが、政策がどう違うのか聞きたかった」(30代会社員)
「自民党の独裁状態が続くのは良いことだとは思えないが、小池さんの主張は“きれいごと”というイメージが強くて信用できない」(40代パート従業員)
報道各社の世論調査では、日を追うごとに希望の党の支持率が下がっている傾向がみられるが、実際の演説現場の様子からも、小池氏を積極的に支持しようとする層が少ないことを感じさせる。とはいえ、小池氏が演説を始めると、多くの人が足を止め聞き入り、聴衆は400~500人規模に膨れ上がっていた。注目度が高いことは疑いようもない。
小池氏は挽回する秘策を持っているのか、注目したい。
(文=編集部)