凋落しつつある私立校にとって、さらに追い打ちをかけるような懸念材料もある。それは公立の中高一貫校の台頭だ。
「小石川、両国のように、中高一貫校に転換した公立校は名門校の流れを汲むところが多く、開学時から保護者の関心は高かった。卒業生が優れた進学実績を示し始めた最近は、さらに人気化している」(前出の学習塾関係者)
毎春に結果の出る難関大学の高校別の合格者数は、進学校にとっては年間の通信簿に値するらしい。特に公立校の猛追に苦しむ私立進学校の関係者は、受験生と同様、心許ない時は続くのであろう。
(文=島野清志/評論家)
【主要私立進学校の過去3年の東大合格者数と過去最高数】
桜蔭76人、59人、63人(過去最高1996年93人)、駒場東邦82人、57人、51人(同2015年82人)、栄光学園45人、57人、62人(同1988年88人)、聖光学院74人、71人、69人(同2015年74人)、東大寺学園 32人、37人、26人(同1988年63人)、海城56人、30人、49人(同1995年68人)、渋谷教育学園幕張56人、76人、78人(同2017年78人)、ラ・サール25人、44人、40人(同1985年117人)、久留米大附設37人、37人、27人(同1988年54人)、桐朋13人、20人、8人(同1986年64人)、浅野40人、30人、32人(同2007年42人)、武蔵22人、26人、32人(同1979年及び1984年86人)、巣鴨21人、13人、12人(同1992年78人)、洛南24人、21人、14人(同1997年68人)、甲陽学院28人、29人、39人(同1987年57人)
※1980年以降50人以上の合格者を出した私立校(開成、灘、麻布は除外)が対象。人数は2015年、16年、17年の順。各校ホームページ及び「サンデー毎日」(毎日新聞出版)より引用。ただし武蔵の過去3年の数値は進学者数。