共同正犯の可能性も
日大は17日夜になって、「近く内田監督らが関学アメフト部に謝罪に訪れる」とコメントしたが、一連の動きを見れば、日大は「大した怪我もしてないのに何を騒いでるんだ」とばかり、事態を軽く見ていたとしか考えられない。刑事告訴の可能性について関学の小野氏は、「基本的には本人とご家族が決めること」としたが、日大の当該選手、さらには監督を刑事告訴すべき事案である。勢いでぶつかってしまったなどではない。故意による傷害事案であることは映像ではっきりしている。監督が指示していたのなら、選手と監督による刑法上の「共謀共同正犯」になる可能性もある。
会見では「もし、関学の選手があんなプレイをしたらどうするか」と質問が出た。鳥内監督は「あんなのは見たことがない。うちでは考えられないプレイ」と話した。「アメフトは危険なスポーツだと思われるのでは」との質問に小野氏は「アメフトと無関係。サッカーでもファウルがあるが、ルールで想定された範囲内のもの。しかし今回の件はアメフトのルールなどからも想定外の事案であり、現場がたまたまアメフトのグランド上だっただけだ」と話した。
かつて鉄拳制裁の篠竹幹夫監督が黄金時代を築いた日大フェニックス。内田氏も篠竹氏の弟子だった。篠竹氏亡きあと、内田監督は長年低迷していた「日大フェニックス」を率い、昨年の甲子園ボール決勝で宿敵の関学を破り、27年ぶりの「学生日本一」に輝かせた。現在は日大で常務理事と人事部長の役職に就いている。
内田監督は19日、関学側に謝罪に訪れた後、大阪空港で報道陣に監督を引責辞任することを明らかにした。その後、羽田空港で、日大の常務理事と人事部長の役職について去就を聞かれ、「それは違う問題」と回答。日大関係者とみられる人物も「それは関係ない」と語った。このような人物を大学の常務理事にしているなら、日大全体の評価を落としかねない。
(文=粟野仁雄/ジャーナリスト)