小池百合子の“電撃入院”は巧妙な都議選対策か…菅原一秀の選挙区から総選挙出馬説も
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
6月22日、東京都の小池百合子知事の「静養」が発表されました。理由は「過度の疲労」だそうで、入院した小池知事に代わり、今週の公務は多羅尾光睦副知事が代行します。
東京オリンピック・パラリンピックの開催は目前ですし、都内の新型コロナ感染者は減らないし、25日には東京都議会議員選挙(7月4日投開票)の告示を控えています。しかも、小池知事は古希目前ですから、さぞお疲れがたまっていたことでしょうね。
もっとも、6月16日に詐欺と特別背任の容疑で再逮捕された太陽光発電関連会社の社長が過去に小池知事に献金していたことが明らかになっているので、「健康状態よりもこちらがイタかったのでは?」という説や、「愛犬が亡くなってペットロス?」という説も出ているようです。
しかし、本当の理由はおそらく「都議選」でしょう。静養の発表を聞いて、「おー、そうきたかー」と思いました。みなさまは、小池知事が設立した東京の地域政党「都民ファーストの会」(都ファ)をご記憶でしょうか? 4年前の都議選では自民党に大差で勝利しましたが、あの頃と違って、今の小池知事はオリパラやコロナ対策で自民党と連携せざるを得ない状況が続いています。そのため、都ファの特別顧問でもある小池知事が今回の選挙でどういう態度を取るのかが、注目されていたのです。
4年前のように自民党をガンガン攻撃するのは無理とはいえ、都議会で「与党」として小池都政を支えてきた都ファをないがしろにはできませんから、「静養」で表舞台に立つことを控えたのでしょう。
これは、一時的とはいえ「都政から撤退する」ということで、五輪開催都市の首長としてはあり得ない話に思えますが、小池知事ならではの動きですよね。おそらく、かなり前から「静養」することは決めていたのだと思います。
現在の都ファ所属の都議は46名で、今回の選挙で同じくらいの数が出馬したとしても、永田町の下馬評では「獲得できるのは13議席程度」と言われています。なので、都ファのためにがんばるよりも、自民党と表立って敵対しない対応を模索していたようです。
ちなみに、噂の域を出ませんが、都ファに「オリパラ中止」を掲げさせて都議選を戦う構図もあったようです。そのために政府のオリパラ対応に沈黙を続けていたとの説もありましたが、政府が開催の姿勢を貫いたことで立ち消えになったのです。
もはや小池知事の頭の中は、次の衆議院議員総選挙で国会議員に返り咲いて、女性初の総理大臣のポストを狙うことでいっぱいになっているようです。亡くなったワンちゃんの名前は「総理大臣」の「総」からとった「そうちゃん」だそうで、気合いが違いますね。そんなお名前の子が亡くなるなんて、本当にお気の毒です。
菅原一秀の選挙区から総選挙出馬説も
都議選後の都議会は自民党が与党になるでしょうから、小池知事にとっては議会運営がやりづらくなることが目に見えています。それもあって、辞職した菅原一秀前衆議院議員の選挙区(東京第9区、主に練馬区)からの出馬を虎視眈々と狙っているようです。
総選挙の期日が遅くなればなるほど準備できるので、小池知事にとっては有利になるでしょうね。すでに、出馬するための「極秘ミッション」を誰かに遂行してもらっていると思いますが、小池知事はあまり他人を信用しないタイプなので、人選も微妙かなと思います。
一方、永田町は国会が閉会し、議員会館勤務の秘書たちも都議選の応援に駆り出されているので、とても静かです。神澤にとっても、駆け回る日々が始まります。この季節は日焼けが心配ですが、すべては有権者のみなさまに投票に行っていただきたいからです。魅力的な選挙を展開しないと、関心を持ってもらえませんからね。
都内では選挙カーを見かけることも多くなり、公営掲示板も準備され始めていますが、まだコロナ禍は収まっていません。今までのような選挙戦略では活動しにくいので、各陣営は試行錯誤しながらがんばっていると思います。
また、総選挙は10月10日投開票が想定され、ほとんどの陣営が準備を進めています。ところが、6月23日になって「衆議院議員任期満了日の10月21日に解散・11月28日投開票」という話が出てきました。
菅義偉首相が初当選した1996年10月20日の総選挙の同期が在職25周年を迎える日にぶつけたいそうです。ちなみに、この選挙から中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わっています。
「意味があるとは思えないけど、菅総理ならやりそう……」というのが永田町の見方ですが、どうでしょう。有権者のみなさまは、ぜひ投票へいらしてくださいね。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。