6月25日の告示を控えた東京都議会議員選挙は、7月4日に投開票が行われる。都議選は国政選挙の前哨戦とも言われ、今年は秋までに衆議院議員選挙が行われることもあり、その動向が注目されている。
前回2017年の都議選は、小池百合子東京都知事が率いる都民ファーストの会が第1党に躍り出て、自民党は大敗を喫した。今回は、小池知事が特別顧問を務める都ファが党勢を維持するか、選挙協力を行う自民党と公明党が過半数を取り戻すか、が焦点となっている。
この4年間を踏まえて、小池都政とどう対峙していくのか。自民党東京都連幹事長の高島直樹氏(※「高」は正式には「はしごだか」)に話を聞いた。
小池知事の都政運営をどう評価?
――小池都政の評価や総括について、どのような感想を抱いていますか。
高島直樹氏(以下、高島) 良くもあり悪くもありで、なかなか評価しづらいのが正直なところです。最終的には、退任後にいろいろな評価がはっきりするのではないでしょうか。努力されているのは確かですが、点数はつけにくいのが実情です。現職の知事と議会人の関係においては、お互いに良い意味での緊張感を持って臨むことが肝要ですから、第三者的な発想で良し悪しを評論するつもりはありません。
――緊急事態宣言をめぐる対応については、いかがでしょうか。
高島 世間には「小池知事がジャッジすることなく、国に責任をかぶせている」という批判もあり、確かにそうした側面もあるのかもしれませんが、都をはじめとする地方自治体の権能だけでは限界もあります。一方で、都が独自に決めた5月12日以降の措置では、休業要請について「劇場はよくて、なぜ映画館がダメなのか」という声を招くなど、説明不足の点も多々ありました。また、業界団体の話を聞くと、時短営業や休業に伴う協力金をめぐっては、飲食業界と他業界の間で公平性に対する疑問の声も出ています。
――各業界からは陳情などもあると思いますが。
高島 たとえば建設業界からは、直近の仕事は確保しているものの、新規の工事がストップしたり営業活動ができないなど、先行きが不安であるとの説明を受けています。公共工事は景気回復の起爆剤になりますから、都には建築・土木工事ともに積極的に発注するよう指示しています。
――建設以外の業界については、いかがでしょうか。
高島 飲食業界が打撃を受けていることに伴い、酒屋さんやおしぼり業者などの落ち込みも深刻で、廃業や倒産も増えているそうです。また、在宅ワークが普及した影響でワイシャツやスーツを着る機会が減ったことで、クリーニング業界も打撃を受けています。葬儀業界も、密を避けて家族葬が増えたため、同様に経営が厳しいとのことです。
最近では、飲食店やすし店などが加盟する「生活衛生同業組合」が、お酒を提供させてほしいと切実に訴えてきました。「これ以上は我慢できません。お酒を提供しないと、もう自分たちが食べていけません」という声も出ています。
――コロナ禍の解決策はあるのでしょうか。
高島 もちろん、人流の抑制などは引き続き取り組んでいかなければなりませんが、やはりワクチン接種をスピーディーに進めることに尽きるのではないでしょうか。若者を中心に、一部のお酒を提供する店に人が集まっているというケースを聞きます。また、今は幼児や小中学生の感染者も増えています。これは、親が外で飲酒するなどして感染し、家庭内感染で広がったケースでしょう。
そこで、菅首相が言われているように、7月末までに高齢者のワクチン接種を完了させ、それから基礎疾患のある方や一般の方々へとシフトしていくことが大切です。新型コロナについて、ウルトラCの対策はないと思っています。ワクチン接種を効率的に進めるためには、国、自治体、医師会、医療従事者の力と心をひとつにすることが大切です。
――今夏に開催される予定の東京オリンピック・パラリンピックについては、どうお考えですか。
高島 世間でさまざまな声があることは承知していますが、東京五輪については開催すると確信しています。もちろん、選手や関係者のみなさんがワクチンを接種し、行動範囲を正確に決めるなど万全の感染防止対策を行うことが前提ですが、そのために医師団や看護師の方々の協力を得ています。「水際対策ができていないから東京五輪は延期した方がいい」という意見もあるようですが、私は決してそうではないと思っています。
(構成=編集部)