6月15日の衆議院厚生労働委員会で、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の審議が行われた。そこで、自民党の穴見陽一衆議院議員が飛ばしたヤジが物議を醸している。
審議には参考人として、日本肺がん患者連絡会代表で自身も肺がん患者の長谷川一男氏が出席した。長谷川氏は、自身が受動喫煙によって肺がんになったと考えているという。
そこで、屋外での喫煙について、「喫煙所をつくる、増やしていくというのがひとつの方法ではないかと考えています。しかしながら、それも一時的なもので、なんとかそれを、数年たった後にそういったところもなくしていけたらと、個人的には考えております」と考えを述べた。その直後、穴見議員が突然「いいかげんにしろよ」とヤジを飛ばしたのだ。
この様子がインターネット上で拡散されると、「こういう人が、まわりに配慮している愛煙家の居場所を奪っていくんだな」「喫煙者だけど恥ずかしい」「がん患者を目の前にして、あり得ない罵声」「体が弱っているなかでわざわざ国会で意見を述べてくれた人に対して中傷するなんて最低! 即刻議員を辞めろ!」と批判が続出した。作家の山本一郎氏も、20日にツイッターで「国会でガン患者に野次ってなんかすげーな」とあきれかえっている。
これを受けて、21日に穴見議員はフェイスブックを更新。「まずは参考人の方はもとより、ご関係の皆様に不快な思いを与えたとすれば、心からの反省と共に深くお詫び申し上げる次第でございます。もちろん、参考人のご発言を妨害するような意図は全くなく、喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想いで呟いたものです。とはいえ、今後、十分に注意して参りたいと存じます。この度は誠に申し訳ありませんでした」と釈明した。
しかし、この文章に対しても「『不快な思いを与えたとすれば』? 反省する気一切ないんだな」「普通に不快だろ。相手が勝手に悲しんだみたいにしていてムカつく」「なんで仮定形なのでしょう。まったく謝罪していないし、一刻も早く議員を辞めてほしい」と大バッシングが巻き起こっている状況だ。
ジョイフルの「分煙」も非難の対象に
また、穴見議員が以前にファミリーレストラン「ジョイフル」の社長を務めていたことも波紋を呼んでいる。穴見議員はジョイフル創業者の長男で、2003~08年と11~12年の2度にわたって社長を務めており、現在も代表取締役に就いている。
そのジョイフルの店舗は全面禁煙ではなく、いわゆる分煙だ。ニュースサイト「ITmedia ビジネスオンライン」の6月21日付記事によると、直営店の732店舗のうち308店舗では「気流を調整して煙が禁煙席に流れない仕組みを設けている」とのことで、ほかの424店舗とフランチャイズ店では、席が分かれているだけだという。
そのため、ネット上では「壁も仕切りもないから意味ない」「禁煙席に座っていてもタバコの煙が流れてくる」「前から名ばかりの分煙だと思っていた」「子どもと一緒に行けない」などと非難の対象になっているのだ。