インバウンド宿泊者数前年比6割増の青森県
観光庁のデータによると、2017年の外国人延べ宿泊者数は7800万人泊で、調査開始以来最高となった。
もっとも多いのは東京都で1903万人泊(人泊は宿泊人数×宿泊数)。以下、大阪府1171万人泊、北海道743万人泊、京都府559万人泊、沖縄県460万人泊と続く。注目は、地方の伸び(前年比15.8%)が三大都市圏(東京・愛知・大阪圏の8都府県)の伸び(10.2%)を上回り、地方のシェアが初めて4割を超えたことだ。
訪日外国人客の地方志向が高まってきているのだ。そんななかで話題となっているのが、33位の青森県(26万人泊)だ。絶対数はまだまだ少ないが、前年比では全国一の60.3%増となった。中国・香港・台湾・韓国を海外誘客重点エリアと位置付けたトップセールスなど、県の取り組みが功を奏した。初の中国定期便となる中国・奥凱航空の青森―天津線の就航や大韓航空の青森―ソウル線の増便、台湾からのチャーター便など海外とのアクセスを強化。大型クルーズ船の寄港も増えた。
観光パターンにも変化がみられる。従来だと弘前は桜の時期、十和田湖や八甲田、奥入瀬といった観光地は夏から秋が主流だったが、近年は観光閑散期だった冬を売り出し、アジア客の関心を引いている。
「最近は冬の観光の強化に取り組み、外国の方々にさまざまな体験をしていただけるコンテンツを多数用意しました。樹氷(八甲田)、氷瀑(奥入瀬渓流)、地吹雪(津軽)など、自然を体験するツアーやストーブ列車(津軽鉄道)などが好評ですね」(県の担当者)
「冬の青森でしか体験できない」、そんな魅力が外国人客の心をくすぐっているのだ。今はまだ三大都市圏での体験観光が人気の上位にあるが、よりディープな体験を求める海外からのリピーター客は、確実に地方へとシフトしている。そんな動きにどう対応していくのか。
このあたりに地方活性化のヒントがありそうだ。
(文=山田稔/ジャーナリスト)