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【体操パワハラ】塚原夫妻の謝罪声明は素直に受け入れるべき…速見コーチの暴力は別問題

文=深笛義也/ライター
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 体罰は悪いという認識はあります。でも、パワハラが悪いという認識はありません。高校野球の取材に私はけっこう行ってますけれど、普通にパワハラは行われています。そうじゃない高校野球を教えてくださいって言われても、具体例を出しにくいくらい、皆それを当たり前のようにやっています。これがなくならないのは、親や選手たちもパワハラを受け入れてしまっているからですよ」

 宮川選手の告発、そして塚原夫妻の謝罪によって、スポーツ界は変わっていく契機をつかむことができるのだろうか。

「そうならないと困りますね。スポーツ界だけではなくて、日本の社会もそうですけど、コンプライアンスとかガバナンスなんてことは脇に置いといて、勝つということが力になっていた。これは否めないわけじゃないですか。塚原さんたちも、どんな手を使ってでもオリンピックに選手を派遣するとか、日本の国内でも勝たせる選手をつくるということを最大の後ろ盾にしてやってきた。

 体操協会全体も、本来ならば経営的な発想だとか、どうやって競技を普及させていくかなど、いろんな将来ビジョンも持たなきゃいけない。だけど、どうしても選手強化、オリンピックに勝つか負けるかということに重きを置いた組織になってしまっています。オリンピックで勝てば補助金がたくさんもらえるとか、あるいは朝日生命という大きな企業を体操界に連れてきたっていうことの貢献度だとか、そういうものが評価されてしまっている。それが彼らを実力者にしている一因だと思うんですね。

 これは体操協会に限ったことではなくて、日本のスポーツ界の課題です。オリンピックでも、パワハラを受けて獲った金メダルなんて本当は価値がないと思います。なんであろうが金メダル獲ることに価値があるということなら、パワハラを礼賛していることになってしまいます。世間はパワハラのことを問題にしているのに、なぜこれがスポーツ界に反映されないのだろうって思ってきましたけど、ようやく変わっていく兆しが見えてきたのを、私は歓迎しています」

 オリンピック憲章を見ると「オリンピズムは肉体と意思と精神のすべての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である」と書かれている。2020年の東京オリンピックを、この哲学を体現した祭典とすることができるのだろうか。
(文=深笛義也/ライター)

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