18歳の少女の告発により、日本体操界に激震が走っている――。
29日、体操女子で2016年リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江選手が記者会見を行い、宮川選手への暴力があったとして速見佑斗コーチに日本体操協会が下した無期限登録抹消処分に疑問を呈した。さらに宮川選手は、「協会から今までパワハラを受けたというふうに感じている。すごく怖かったし、このまま潰されてしまうのではないかということで、周りにも相談した」と明かしたほか、以下内容を証言した。
・速見コーチが処分を受ける前の7月中旬、協会の塚原千恵子・女子強化本部長、千恵子氏の夫で協会副会長の塚原光男氏に呼び出され、「(速見コーチに)暴力の話が出ている。認めないと厳しい状況になる。あのコーチはダメ。だからあなたは伸びない。私なら速見コーチの100倍教えられる」と言われた。
・千恵子氏から速見コーチの暴力について証言するよう求められたが、宮川選手は「私は証言しません。ずっと前から目標に向けて計画を立ててがんばってきた。自分の考えを言える先生です。家族も先生を信頼して一緒にやっていく」と主張。すると塚原氏から「家族でどうかしている、宗教みたいだ」「五輪に出られなくなる」と言われた。
・塚原夫妻に関わりが深い朝日生命への移籍を勧められた。
・宮川選手は千恵子氏の意向を受け入れなかったことで、ナショナル選手に入っていながら「味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)」を使用できなくなった。
・宮川選手と同様に協会からパワハラを受けている選手がおり、NTCの利用制限を受けている選手やコーチは多数いる。
この証言を受けて30日、千恵子氏は日刊スポーツの取材に対し「これでは言ったもん勝ちじゃない! もう黙ってないわよ」「悪いことはしていないし、宮川が勝手に言っていること」と発言。また光男氏も同日、自宅前に集まった報道陣に対し、「なぜ彼女が嘘を言うのかわからない」「全部嘘です」と語った。
塚原夫妻の独裁体制、続々と証言が飛び出す
取材する記者は語る。
「もともと30日に協会は、宮川選手の証言を否定するプレスリリースを出す予定でしたが、塚原夫妻の発言が批判を浴び、さらにレスリング協会や日本ボクシング連盟、日本大学アメフト部のパワハラ問題が相次いでいたこともあり、なんとか“宮川を潰す協会”という構図が出来上がり、そのイメージが世間に広まるのを避けるべく、具志堅幸司副会長らが主導するかたちで対処することになったのです。そして30日に緊急で開かれた協会理事らによる会議で、協会から独立した第三者委員会を立ち上げて調査することが決まったのです」