秋篠宮家の長女眞子さまと10月26日に結婚する予定になっている小室圭さんの母、佳代さんが刑事告発された。ジャーナリストの篠原常一郎氏が10月6日、東京地方検察庁に、小室佳代さんを詐欺罪で告発する告発状を提出したのである。
篠原氏が佳代さんを刑事告発したのは、遺族年金と傷病手当金の不正受給疑惑があったからだという。告発状の受け取りは拒否されておらず、今後受理されれば、本格的な捜査が始まるらしい。
心配なのは、この刑事告発、そしてそれに関する報道が眞子さまに与える影響である。というのも、宮内庁は10月1日の会見で、眞子さまに「複雑性PTSD」という診断を下した精神科医の秋山剛氏による文書を公表したが、その中に次のような一節があるからだ。
「眞子内親王殿下は、ご結婚に関する、ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する誹謗中傷と感じられるできごとを、長期にわたり反復的に体験された結果、『複雑性PTSD』(複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断される状態になっておられます」
「誹謗中傷と感じられるできごと」とは何か
ここで問題になるのが、「誹謗中傷と感じられるできごと」とは何かということだ。辞書によれば、「誹謗中傷」とは、「根拠のないことを言いふらして他人の名誉を傷つけること」だが、1日の宮内庁の会見では、何が「誹謗中傷と感じられるできごと」に当たるのか明らかにされず、あいまいなままだった。そのため、報道する側も、コメントする側も、報道や発言を眞子さまが「誹謗中傷」とお感じになったらどうしようという危惧から、どうしても及び腰になる。実際、この会見以降、マスコミの論調が変わった印象を私は受けた。
なかには、「複雑性PTSD」という診断に疑問を投げかけた精神科医もいる。私自身は、眞子さまを直接診察したわけではないので、そこまで懐疑的な見方はできない。だが、この診断名を今の時期にあえて公表し、しかもその原因として「誹謗中傷と感じられるできごと」を挙げたのは、何らかの思惑があったからではないかと“げすの勘繰り”をしたくなる。
もしかしたら、眞子さまの病状を悪化させる危険性を憂慮して、小室さん母子及び小室さんとの結婚に対する批判を国民やマスコミが控えるようになる、つまり自主規制することを期待しているのではないかという疑いが頭をもたげる。
自分の病気を周囲に認知してもらうことによって何らかのメリットが得られる場合、精神医学では“疾病利得”と呼ぶ。もしかしたら、病名を公表したのは、この“疾病利得”を狙ったからではないかとさえ疑いたくなる。
もちろん、これは意地悪すぎる見方であり、宮内庁は眞子さまの深刻な病状を憂慮して、病名公開に踏み切ったのだろうとは思う。ただ、例の会見以降、眞子さまに「誹謗中傷と感じられるできごと」と受け止められては大変だとの思いから、私自身が以前より慎重に発言するようになったのはたしかである。
今回、佳代さんが刑事告発されたことを取り上げたのは、これが事実だからだ。刑事告発は紛れもない事実なので、「誹謗中傷」には該当しないと思う。だからこそ、この連載で取り上げた。
もちろん、篠原氏の告発内容が事実か否かは知るよしもない。それについては、是非とも捜査で明らかにしていただきたい。佳代さんにまつわる疑惑は、いろいろささやかれてきたが、これまではずっとグレーゾーンだった。だからこそ、眞子さまも「誹謗中傷」とお感じになることがあったのではないか。逆に、捜査の結果、佳代さんへの疑惑が晴れて、“白”ということになれば、眞子さまの病状改善にプラスになるだろう。
もちろん、一連の疑惑が“黒”と判明する可能性もないわけではない。ただ、その場合、小室さん母子への批判は事実にもとづくものということになり、「誹謗中傷」には該当しない。だから、そろそろ白黒つけるべきだ。そのためにも、東京検察庁が告発状を受理することを切に望む。
(文=片田珠美/精神科医)