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自衛隊でまたパワハラ自殺事件、処分受けた上司もパワハラ被害者だった?超閉鎖空間の異常性

文=秋山謙一郎/経済ジャーナリスト
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自衛隊でまたパワハラ自殺事件、処分受けた上司もパワハラ被害者だった?超閉鎖空間の異常性の画像1海上自衛隊 とわだ型補給艦「ときわ」(「Wikipedia」より)

 “パワハラ”への理解が社会で成熟しつつある。

 社会人である以上、部下や後輩を指導する際、「昔、自分も厳しい指導を受けたから同じように指導しても問題ない」「上司から言われたことを中間管理職として行っただけだから、責任は組織が取ってくれる」という認識は、もはや時代遅れだ。

 上からの命令に絶対服従を求められる実力組織である自衛隊とて、例外ではない。何が正しく、正しくないか、その判断は自らで行わなければならない。

 そして、真に反省した者ならば、組織と社会は温かく受け入れるべきだ。

いまや“ホワイト企業”となった海上自衛隊

 昨年9月、海上自衛隊補給艦「ときわ」に乗艦していた3尉(32)が、艦内で自ら命を絶った。当時の艦長、運用長、船務長らによるパワハラが原因である。この件について海上自衛隊に問い合わせると、次のように回答した。

「海上自衛隊として言い逃れができない事案です。すでに各種報道でも報じられているように、当時の艦長、運用長、船務長の3幹部自衛官には懲戒処分を行いました」(海上幕僚監部広報室)

 これに伴い、当時の艦長、運用長、船務長は、すでに艦艇勤務から外され、現在(本稿執筆2月26日時点)、「護衛艦隊司令部付」として陸上勤務となった。もっとも、この配置は処分に伴う一時的なもので、そう遠くないうちに別の配置へと異動することになるという。もちろん、これまでと同様に艦艇勤務とはいかないようだ。その理由を海幕関係者は次のように語る。

「パワハラで乗員ひとりを自殺に追い込んだ前艦長を、また艦長職に就けるということは、それこそ艦艇勤務隊員たちの士気にかかわる。あり得ないし、あってはならないことです」

 2004年に起こった護衛艦「たちかぜ」のいじめ・パワハラ乗員自殺事件以降、海自ではパワハラ根絶に注力してきた。今、海自では厚生労働省が定めた「職場のパワーハラスメントの定義」に従って、きめ細かく対応している。

 たとえば、上司の部下に対するパワハラはもちろん、同僚間においても適用される。極端な例だと、長年艦に乗っている乗員が、着任間もない艦長に向かって「あんたそれでも艦長ですか?」「艦を降りろ」などと発言すれば、これもパワハラ認定され、発言者は厳しく処分されるという。その“ホワイトさ”は、民間企業をはるかに凌ぐといっても過言ではない。

 それは海自のみならず、陸・空の自衛隊各部隊でも「パワハラ撲滅」を促すポスターが貼られ、階級を問わずパワハラ理解を深めるための講習も頻繁に行われている。そうした自衛隊全体での取り組みが浸透しつつあった矢先に、今回の事件は起きた。

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