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世界中で密かに中国批判の“検閲”が浸透…中国、海外でも現地メディア利用し言論操作

文=高月靖/ジャーナリスト
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世界中で密かに中国批判の“検閲”が浸透…中国、海外でも現地メディア利用し言論操作の画像1「Gettyimages」より

英メディアに波紋を投げかけた求人

 昨年6月、ある求人がイギリスのメディア関係者をざわつかせた。国際ニュースネットワークCGTNがロンドンに欧州拠点を開設するにあたり、1年半かけて350人超のジャーナリストを採用するというのだ。

 ロンドンのメディア業界は近年、深刻な就職難といわれる。そうしたなかCGTNはロンドンのジャーナリストの平均を「はるかに超える」サラリーを提示し、90人分の枠に6000件もの応募が殺到したという。

 CGTNは中国グローバルテレビジョンネットワークの略。所有・運営するのは、中国の国営テレビ局CCTV(中国中央電視台)だ。言語は中国語以外に英語、フランス語、スペイン語、アラビア語、ロシア語。無料衛星放送により100超の国・地域で視聴可能とされる。

大規模化・高度化する中国の対外メディア戦略

 英紙サンデータイムズに掲載された求人によると、CGTNは「中国の視点でニュースを伝え、客観的、公平かつ偏りのない時事番組を提供する」ことを目的に掲げている。だがこの後半部分に大きな疑問符をつけたのが、同じく英紙ガーディアンだ。同紙は取材に5カ月を費やしたという長文記事『大胆不敵な中国の国際プロパガンダの内側』(12月7日付)で、海外に浸透する中国のメディア戦略に警鐘を鳴らしている。

 中国のメディア戦略は長い間、国内に入ってくる情報の統制に専念してきた。新聞、図書、ニュース映像などの検閲がその古典的な手法だ。また対外的には公式の抗議声明、海外メディア特派員の本国への送還などが行われてきた。

 だが特に2000年代以降、中国のメディア戦略は外に向かって、より大がかりかつ洗練された方法で展開されている。

 ガーディアンがそうした対外プロパガンダの単純な例として挙げるのは、新聞に挟み込まれる広告記事。本紙に違和感なく溶け込むようレイアウトされた読み物形式の広告だ。

 中国の英字紙チャイナデイリーが配信する広告記事「チャイナウォッチ」は、ニューヨークタイムズ、デイリーテレグラフ、フィガロ、毎日新聞など世界各国の主要紙をはじめ30紙近くに挟み込まれている。ガーディアンによると最近の見出しは『チベットの輝かしい成功40年』『習主席が開放政策を発表』といった調子だ。

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