消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
全人代ではGDP成長率6~6.5%が掲げられたが、達成は絶望的でほぼ無理である。春節(旧正月)中は鉄道、飛行機、長距離バス、そしてハイウェイが未曾有の人混みで大混乱に陥った。だが、その実態はといえば、例年より早い休暇入りが要因だ。そして、会社からは「ゆっくり休養を取れ。連絡するまで上京しなくてもよい」と言われ、給与は不払い、当座の旅費だけ支給される。春節が明けて職場に戻ると、工場は閉鎖されていた。中国ではよくある手口だ(日本に観光に来ている中国人はよほど恵まれた階層である)。昨年の企業倒産は、上半期だけで504万社と報じられている。
ビルの建設現場では労働者に3カ月給与不払いというケースが多く、現場の作業はストップしている。工期はベタ遅れ、クレーンは止まり、作業場では残った労働者の座り込み抗議集会やデモが続く。トラックの運転手はウーバーの中国事業を買収した配車サービス「滴滴出行」に職を脅かされ、当該本社前をトラックがグルグル回っての抗議活動が行われている。配送の下請けは賃金を受け取るまで「配達はしない」と抗議の声を上げた。
製造工場では生産ラインが次々と止まり、座り込み抗議集会が全土に拡大した。大躍進を遂げてシャープを買収した鴻海精密工業も騎虎の勢いを失い、とりあえず10万人をレイオフした。
こうした風景が中国全土のあちらこちらで見られるのだ。大量失業の実態を目撃すれば、どうやって6%台のGDP成長が可能と思えるだろうか。
中国経済は黄金の時代から弔鐘の音色へ
あまつさえ、「金の卵」といわれ重宝されていた「海亀派」の異変もある。欧米日に留学し帰国した若者は、産卵のために古巣へ帰ってくるという意味で「海亀」と呼ばれ、経済発展を支える役回りを担っていた。その彼らにも、就職難という悪影響が出ているのだ。
中国国泰証券の主任エコノミスト・李迅雷によれば、「過去40年で実に313万の中国人留学生が海を渡り、このうちの84.6%が帰国した」という。そして、ある統計によれば、彼らの平均年収は2万5000ドルだったという。外資系企業が彼らを雇用し、その年収に比例して中国国有企業や下請けの賃金体系を外資系が領導した。しかし、そうした黄金の時代は終わった。
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