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滋賀医科大病院、特定のがん治療突如中止で大量の待機患者発生…不適切処置で治療困難な患者も

文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者
滋賀医科大病院、特定のがん治療突如中止で大量の待機患者発生…不適切処置で治療困難な患者もの画像1滋賀医科大学医学部附属病院(「Wikipedia」より/Hirorinmasa)

 滋賀医科大学医学部附属病院(以下、滋賀医科大病院)が、前立腺がんの高度な小線源治療「岡本メソッド」の中止を告知してのち、患者のあいだに動揺が広がっている。小線源治療の継続を求めて3月13日、患者会の代表4人が国会と厚生労働省に申し入れを行い、2万8189筆の署名も提出した。滋賀医科大病院が、高い評価を得ている岡本メソッドの中止を決めた背景には何があるのか。筆者は患者らに密着取材した。

 今回の申し入れに加わった東京都在住の山口淳さんは、岡本圭生医師による小線源治療の手術の順番を待っている。しかし、スケジュールを組んでもらえない状況が続いている。山口さんと同じ立場に置かれた待機患者はすでに30名を超えた。山口さんは問題の打開を求めて、永田町と霞が関に足を運んだのである。山口さんが、岡本医師の診察にたどり着くまでを語った。

「昨年8月に健康診断で、はじめて採血による前立腺がんのPSA検査を受けました。70歳以上の正常値は4ng/mL以下ですが、私の場合、その21倍を超える87ng/mLだったのです。血液を解析した機関から、直接私に電話があり、すぐに病院へ行くように告げられました」

 山口さんは健康診断を受けた病院で、レントゲン検査のほか、再度PSA検査を受けた。数日後に結果が出た。PSAの数値はやはり異常に高かったが、レントゲンに異常はなかった。しかし、医師から「知っている病院があれば紹介状を書きますから、そこで精密検査を受けてください」と言われた。そこでインターネットで病院を検索し、前立腺がんの治療では定評のある都内のA病院を受診したのである。

「MRIを受けてがんと診断されました。そこで転移があるかどうかを調べるために、針生検を受けました。20本の針を刺してがん細胞の有無を調べたのです。その結果、9本でがん細胞が発見されました」

 山口さんは高リスクのがんと診断されたのである。担当医は「手術しましょう」と提案した。

「非再発率はどの程度でしょうか」
「5年後、70%。あなたの場合、高リスクなので仕方ないですね。切ってさっぱりしましょう。転移があっても手術しましょう」

 医師は、がんの転移があるかどうかは明言しなかったという。実は、山口さんは針生検の際にも、ある不信感を抱いた。若い医師がやってきて、学会で治療についての発表をしたいので写真を撮影させてほしいと許可を求めたのだ。苦笑せざるを得なかった。この病院で治療を受ければ、医療訓練のモルモットにされかねないと思ったという。山口さんは、主治医に摘出手術とは別の治療を受けたいと希望を伝えた。すると、「あなた、話を聞いているのか」と叱りつけるような言葉が返ってきた。

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