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それは、今通常国会に種苗法改正案の提出を見送ったことからもうかがえる。同法改正案も種子にかかわる法律で、改正案は農家による種子の自家採種を禁止するもの。農家の自家採種によって生産されている伝統野菜や地方限定の野菜などの生産継続に脅威となるもので、種子の自家採種を続けている農家などから改正案に反対の声が広がっていた。
これに対して農林水産省は、2004年から自家採種原則禁止を目指して種苗法改正の検討を続け、いよいよ今国会に法改正案を提出するとみられていた。しかし農水省は国会開会直前に、法改正の準備が間に合わないので法案提出を見送ると発表したのである。04年から法改正を検討してきて間に合わないなど、誰も信じる話ではない。
政府は、種子条例制定の動きが広がるなかで、それに種苗法改正案の反対運動が相乗して火に油を注ぐ事態を、なんとしても回避したかったのである。
TPP11から日EU経済連携協定、さらには日米FTAで窮地に追い込まれている日本の農業者が、参院選でどのような投票行動を取るのかが注視されている中で、地方自治体が国の農業政策にノーを突きつける動きが広がることを、政府はもっとも恐れているのである。
(文=小倉正行/フリーライター)
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