6月5日に行われた競馬の安田記念は、4番人気のソングラインが優勝し、念願のG1初勝利をあげた。ソングラインの鞍上にいた池添謙一騎手は引き上げる際、レースで使用していたステッキとゴーグルを観客席に向かって投げ入れ、喜びを爆発させた。
だが、その投げ入れられたゴーグルをキャッチしたという人物が、当日のうちにゴーグルをメルカリに出品。池添騎手のファンへの思いを踏みにじる行為だと批判が殺到した。さらに、この品に関し、偽物ではないかと指摘する声があがり、出品者への非難は増し、ネット上は炎上状態となった。
安田記念を制したソングライン池添さん。ゴーグルを観客席に投げ入れて場内大盛り上がり!! pic.twitter.com/4AI21xHhlZ
— ユウイチ(馬主) (@yuichi_keiba) June 5, 2022
メルカリに出品されていたゴーグルの商品説明には、「池添謙一騎手がソングラインで安田記念で優勝したときにスタンドに投げ入れたゴーグルです」「近くにいた20代ぐらいの女性と奪い合ってゲットしました」などと本物であることが強調され、1万9999円の値が付けられている。
だが、実際にゴーグルが投げ入れられた現場にいたという人物が、現物の写真をTwitter上に投稿すると、メルカリに出品されているものは偽物ではないかとの疑問が湧き上がった。
出品の品は偽物っぽいですね
— おゔしでぃあん (@ovsidian96) June 5, 2022
本物は眉間の部分にKの印刷がない https://t.co/VwVdq0B9Tp
その後、出品者は偽物を売りつけようとしているのではないかとの疑念が高まり、ネット上は炎上状態になった。
メルカリには、これまでにも著名人のサインや希少品であることをアピールするものの、真偽不明な品が数えきれないほど出品されているが、仮に説明文が虚偽であった場合、出品者は詐欺罪に問われるのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は、次のように解説する。
「真実、『池添騎手のゴーグル』ではない場合、出品者は『池添騎手のゴーグル』と偽って出品し(欺罔)、購入する人はこれを『池添騎手のゴーグル』と考えて(錯誤)、金銭を交付するのですから、詐欺罪(刑法246条)として、10年以下の懲役刑が科される可能性があります。
もっとも、真実、『池添騎手のゴーグル』ではないとして逮捕されたとしても、詐欺罪のような財産犯は『被害金額』が全てなので、購入価格1万9999円であれば、ほぼ起訴猶予となるでしょう。
かつてTwitterが“バカ発見器”と呼ばれたときもありましたが、ごく一部にしても、メルカリもこういう出品に厳しく且つ迅速に対応しないのなら、“クズ人間発見器”と揶揄されるのも時間の問題でしょう」
ネット上で炎上したことを受けてか、出品者は取り下げ、現在は検索しても見当たらなくなっている。
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)