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「志願したい大学」早稲田&明治が圧倒的人気の裏で横浜国立大と埼玉大が躍進の理由

文=長井雄一朗/ライター
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早稲田大学の大隈講堂(「Wikipedia」より)
早稲田大学の大隈講堂(「Wikipedia」より)

 リクルートが運営するリクルート進学総研は7月14日にオンライン会見を開き、「進学ブランド力調査2022」を発表した。高校生の「志願したい大学」ランキングでは、関東で早稲田大学が2年連続1位、東海で名城大学が6年連続1位、関西で関西大学が15年連続1位となった。

 高校生の進学希望分野では、技術革新や理系人材への注目もあり、「工学(電気・電子・情報)」「工学(エネルギー)」「工学(機械)」といった工学系や、「生物・農・獣医・林産・水産」「薬学」といった理系分野の希望者が2年連続で増加した一方で、「観光・コミュニケーション・メディア」「外国語」などの分野はコロナ禍の影響もあり、2年連続で減少した。

早稲田&明治が不動の人気

 まず、関東の「志願したい大学」ランキングは以下の通りだ。

1位 早稲田大学
2位 明治大学
3位 青山学院大学
4位 立教大学
5位 慶応義塾大学
6位 中央大学
7位 日本大学
8位 法政大学
9位 千葉大学
10位 上智大学

 早稲田大学の1位と明治大学の2位は2年連続で、不動の人気といえる。男女別では、男子は3年連続で明治大学が1位、女子は4年ぶりに早稲田大学(昨年3位)が1位となった。また、文理別では、文系は早稲田大学(昨年3位)、理系は明治大学(昨年3位)が1位となっている。

「志願したい大学」早稲田&明治が圧倒的人気の裏で横浜国立大と埼玉大が躍進の理由の画像1
「進学ブランド力調査2022」リクルート進学総研調べ

 また、順位を5ランク以上上げた大学を見てみると、横浜国立大学(14位)が7ランク、埼玉大学(17位)が6ランク上げており、国公立の人気が高まっていることがうかがえる。

「関東では関西と比較して国公立大学が少ないため、ランクインすることはあまりありませんでした。しかし、コロナ禍の影響もあり、地元の国公立大学の志願度が向上している傾向にあります」(リクルート進学総研の小林浩所長)

 東海エリアでは、1位・名城大学、2位・名古屋大学、3位・南山大学。関西エリアでは、1位・関西大学、2位・近畿大学、3位は大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、この春に開学した大阪公立大学となった。

「大阪公立大学は、統合により全学生数は約1万6000人となり、国公立大学としては大阪大学や東京大学に次いで3位です。今回の調査で高校生が寄せたコメントでも『学びたい学部学科がある』『これから発展していくことに期待したい』などがあり、期待値が高まっています」(同)

理系・工学分野の人気が上昇中

 今年のトレンドとして、年内の受験機会がさらに増え、コロナ禍による将来不安も続くため、学びの内容への意識が強くなっているという。たとえば、データサイエンスや工学など今後の成長が期待される分野で学部・学科の新設が増加しており、学生側も卒業後の進路イメージをより重視する傾向にあるという。

「進学希望分野では、技術革新や理系人材への注目を背景に工学、電気、電子、情報、エネルギーや機械などの理系分野、DX化を背景に文理融合・横断型が増加しています。こうした学部・学科を擁する大学は、これからランクが上がっていくのではないかと考えています」(同)

 奈良女子大学が今春に工学部を開設したほか、一橋大学は2023年4月に「ソーシャル・データサイエンス学部・研究科(仮称)」を、お茶の水女子大学は2024年4月に「共創工学部(仮称)」を新設する予定だ。

「今回の工学系人気は一時的なものではなく、これからさらに拡大していくとみています」(同)

 そこで、分野別志望大学ランキングを見ると、「経済・経営・商」は、関東では青山学院大学、東海では名城大学、関西では近畿大学が1位となっている。「情報」では、関東は情報コミュニケーション学部がある明治大学、東海は都市情報学部や情報工学部を持つ名城大学、関西は情報学部を開設した近畿大学が1 位だ。

「工学(電気・電子・情報)」では、関東は東京電機大学、東海は名古屋工業大学、関西は大阪公立大学が1位となった。「工学(機械)」は、関東では東京理科大学、東海では名古屋工業大学、関西では大阪公立大学が1位。

 また、「看護・医療・保健・衛生」は、関東では医療看護学部や保健看護学部を有する順天堂大学、東海では藤田医科大学、関西では森ノ宮医療大学が1位となっている。「教育・保育」は、関東は教育学部を持つ早稲田大学、東海は愛知教育大学、関西は大阪教育大学が1位だ。

 小林所長は「志願度向上のポイントについては、時代に合致した大学改革を進め、それを高校生に向けしっかりと広報を行うこと、さらに長期的に推進することが肝要。志願度は、改革したときではなく、それが高校生に伝わったときに向上する」と、大学改革および広報の重要性についても語った。

 今後、ランキングにどのような変化が表れるのだろうか。

長井雄一朗/ライター

長井雄一朗/ライター

建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス関係で執筆中。

Twitter:@asianotabito

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