参院選比例代表でNHK党から初当選した暴露系YouTuberの「ガーシー」こと東谷義和が「海外から帰国せずに議員活動を続ける」とされていることに対し、ジャーナリストの江川紹子氏が「無責任」「ただちに辞めてもらいたい」とかみついた。これに同党の立花孝志党首が反論し、東谷の前例のない議員活動をめぐって論争が起きている。
今月22日、立花党首は実業家のホリエモンこと堀江貴文氏との対談動画で「(ガーシーが)このまま日本に帰ってきたら、不当に逮捕をされるおそれがある」「帰ってくるメリットは何一つない」などと発言。東谷が滞在中のドバイから帰国せず、8月3日に召集される見込みの臨時国会に登院しないことを表明した。さらに「一生帰ってこないんじゃないですか」と、今後ずっと国会を欠席したまま議員活動を続けるとの見方も示している。
翌23日、江川氏は自身のTwitterでこの発言を報じた記事を引用しながら「なんと無責任な…。国会に出席しないYouTuberに税金から歳費その他を払う必要はないと思う。ただちに辞めてもらいたい」と一喝した。
だが、これに立花党首が「江川さんにお伺いしたいです。国会議員の仕事って何なのでしょうか? 国会に出席する事なのでしょうか? 私は、国会議員の仕事は国家・国民の役に立つ活動をする事が国会議員の仕事であって、国会に出席することなどどうでもよいと思っています。ガーシーに投票した国民の気持ちを理解して頂けると」と反論コメントを寄せた。
すると、江川氏は「国会への出席は最低限の義務。国会法にも『議員は、召集詔書に指定された期日に、各議院に集会しなければならない』とあります」と至極もっともな指摘。さらに「年2000万円を超す給料、秘書3人分の人件費、月100万円の交通費等々の多額の税金が1人の議員に費やされます。国会に出ずに国の役に立ちたければ、他の仕事にどうぞ」と斬り捨てた。
立花党首はこれに「江川さん、ご回答ありがとうございます! テレビによく出演されている江川さんらしい、常識的なご回答で安心しました。テレビは国民を洗脳する装置!」と“らしい”切り返しを見せている。
立花党首は「ガーシーの除籍99.99%ない」と自信
また、一般ユーザーから「ガーシーは立候補時から国会に出ないと言っていて、投票した人はそれを理解した上で支持した」という意見が寄せられると、江川氏は「国会議員は、投票してくれた人の代表ではなく『全国民の代表』(日本国憲法43条)です。彼に投票した人は納得していても、当選した以上は全ての国民の代表者として振る舞わなければなりません」と論じた。
一方、立花党首は24日に投稿したYouTube動画で、国会で居眠りをしている議員がいることを引き合いに「居眠りするくらいなら国会なんて行かなくていい。それより目的達成のために活動をすればいい」「ガーシーは外国から国会をクリーンにするために暴露を続けていく」として、改めて東谷について「帰国せずに議員活動」という方針を示している。
国会法の第5条で「議員は、召集詔書に指定された期日に、各議院に集会しなければならない」と定められており、召集日から7日以内に応じなかった議員は懲罰委員会にかけられ、出席議員の3分の2の同意があると「除名」処分になるおそれがある。ただ、立花党首は「ガーシーが除籍になることは99.99%ないです」と自信をのぞかせているようだ。
過去には国会議員が問題行動などで除名になった事例はわずかながらあるが、今回のように「海外から帰国しない」というケースは前代未聞。8月3日にも召集される臨時国会で「ガーシー議員」はどのような扱いとなるのか、大きな注目を集めそうだ。