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金正恩、日本での工作活動強化を指示…旧統一教会より問題な“隠れ親北派”議員たち

構成=Business Journal編集部
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北朝鮮の金正恩国務委員長(「gettyimages」より)
北朝鮮の金正恩国務委員長(「gettyimages」より)

 韓国と北朝鮮の“ハイブリッド戦争”が加速している――北朝鮮の金正恩国務委員長は5月に開かれた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)全体大会に合わせて書簡を送り、在日本大韓民国民団(民団)などとの「民族団結事業」を強化するように指示した。

 金委員長は書簡で「(朝鮮)総連は民族大団結の旗印の下、民団をはじめとする組織外同胞との民族団結事業を強化して統一愛国勢力を一層拡大し、彼らとの共同行動、共同闘争を活発に展開すべきだ」と伝えている。これに対して、民団の呂健二中央本部団長は6月に発表した談話文で「北の主体思想に民団を引き込んで共同行動により統一愛国勢力を拡大せよという指令」「朝鮮総連の策動に扇動されてはならない」と反発した。

 民団と朝鮮総連は対立を繰り返してきた歴史があり、北朝鮮の指導者が民団に言及して朝鮮総連に連携を促すのは異例だ。この真意は何なのか。以下、元駐日韓国大使館公使で「統一日報」論説主幹の洪熒(ホン・ヒョン)氏が読み解く。

浮かび上がる朝鮮総連の「正体」

 この書簡は朝鮮労働党総書記名義ですが、当然、朝鮮労働党の対南工作の司令塔である統一戦線部が作成した指令です。朝鮮総連の定期全体大会は3年に一度開かれるため、今後3年間の闘争基本指針といえます。

 書簡は、朝鮮総連は金日成と金正日が創建、建設したものと宣言、「総連の活動家は在日同胞の運命を自ら担い、愛国の道を歩む職業的な政治活動家であり、わが祖国が最も大事にし、押し立てる海外の革命同志です」と規定しています。要するに、朝総連の本性は、単なる在日朝鮮人組織ではなく“朝鮮労働党日本支部”であることを確認しているのです。

 そして、朝総連のあらゆる宣伝物に登場する「総連隆盛の新時代を開こう」というスローガンも、この金正恩の書簡が指示したものです。

朝鮮労働党からの指令と4つの課題

 書簡は「総連隆盛の新時代」を開くための具体的課題を指示しています。

 チュチェ思想を指導思想としている総連組織に提起される課題は、第一に「総連のすべての活動を同胞第一主義へ志向させ」「同胞第一主義は、偉大なチュチェ思想、人民大衆第一主義を在日朝鮮人運動の実践に具現した思想」というものです。

 人民大衆第一主義とは、金正恩時代のキーワードで、2021年1月の朝鮮労働党第8次大会で党綱領を改正したとき、金正日時代の「先軍政治」の代わりに打ち出されたスローガンです。

 第二に「民主的民族教育は、総連と在日朝鮮人運動の生命線であり、在日同胞社会の存立と将来がかかっている愛国事業です」。徹底徹尾、「自分の領袖」などをはっきりと認識させることに重点を置かねばならず、そのためには教育活動家の隊伍を、総連の愛国偉業の未来に責任を持つ「職業的革命家」の隊伍として精鋭化することに注力せねばならない、と明言しています。

 要するに、総連の民族学校の教員は職業的革命家で、将来の革命家養成が教育の最終的な目標であると言い放っているのです。日本の政治家や政府当局、地方自治体の関係者の方々がこの書簡を読めば、朝総連は韓国の反国家団体であるだけでなく、自由民主体制を脅かす存在であることがわかるはずです。

 つまり、「各級学校で政治・思想教育と民族性教育を確固と優先させ」「各級学校の生徒・学生数を決定的に増やすべき」とありますが、これこそ韓国籍の民団の子弟を朝鮮学校に引き入れよ、という指令です。というのは、朝鮮籍の数は在日コリアンの6%(2万6312人/2021年末)にすぎないからです。

 そして、「朝鮮大学校は金日成同志と金正日同志が自ら建て、掌中の珠のように大事にしていた民主的民族教育の最高学府であり、この世にまたとない海外同胞大学です」「総連の活動家と在日同胞はどこでどんな仕事をしようとも常に朝鮮大学校を心に抱き、総連の継承者育成事業を物心両面から積極的に支援すべきです」としている。朝大が、首領のための革命戦士を養成する最重要陣地であることがわかります。

 第三に「民族性を固守せよ」という指示が出ます。民族を特徴づけるものは「血統と言語」と言い、朝総連の出版・宣伝機関が紙面を惜しまず取り扱うべき民族文化や伝統などのコンテンツまで列挙しています。要するに、党が持っているメディアを通じての徹底した宣伝と洗脳を通じて、在日同胞を朝総連に収容するように指令しているのです。

 第四に、「祖国の自主的統一と社会主義建設の全面的発展に特色ある寄与すること」。祖国統一は民族至上の課題で総連と在日同胞に提起されている最も重大な愛国事業で、「総連と在日同胞はわが党と共和国政府の祖国統一路線と方針を積極的に支持・擁護し、それを広く内外に宣伝しなければなりません」という指示があります。

 そして、以下が内外のメディアらがすでに報道した、露骨な統一戦線工作の指令です。

「総連は、民族大団結の旗印のもとで“民団”をはじめ組織外の同胞との民族団結事業を強化して、統一愛国事業を一層拡大し、彼らとの共同行動・闘争を活発に展開しなければなりません」「総連は海外にある朝鮮同胞組織との民族的きずなと連携を緊密にし、全民族的な統一戦線を形成するうえで海外中心軸としての役割を果たすべきです」とあります。

 さらに、「総連は、自主、民主、祖国統一のための南朝鮮人民の正義の活動を積極的に支持・声援し、米国と南朝鮮好戦勢力の分裂主義策動を糾弾・排撃する闘争」と強調、尹錫悦政権を徹底的に揺さぶるように指令しています。

 また、「日本各界との人士の活動を伸縮自在に行い、民主勢力、朝鮮統一を指示する連帯組織との活動に力を入れる」と、日本社会に対する工作活動も指示しています。

 朝総連は日本の戦後の社会主義的風潮を利用して、朝鮮労働党の戦線司令部を日本内に構築、日韓関係の離間工作を遂行してきました。特に、メディアや政界工作を通じて反韓・嫌韓雰囲気を醸成してきました。それで、ソウルオリンピックのときまで、韓国は独裁体制、平壌は活気あふれる新生社会主義国家というイメージを作ることに成功したのです。また、関連企業の脱税などで作った天文学的な不法資金を対日工作に使いました。今も、国会議員をはじめ与野党問わず“隠れ親北派”が少なくないのが現実です。

民団の内紛は朝鮮総連の工作活動か

 書簡には「総連は駐日外国代表部との活動を用意周到に行うよう」とありますが、韓国で金大中以来、盧武鉉、文在寅反逆政権が登場しなかったら、おそらく朝総連は消滅したはずです。文在寅集団は民団の中の反共保守勢力を粛清し、朝総連と内通・連携してきた者らを中心に、在日平和統一諮問委員を構成しました。昨春の中央本部団長選挙以来、民団中央本部が機能不全に陥っていますが、この事態の背後にも「主思派」に近い人物の存在があります。

 2006年、民団中央本部と朝総連が南北の「連邦制」を予行練習した「5.17事態」がありました。当時は、民団社会の反共有志たちが立ち上がって反逆陰謀を粉砕しましたが、その連邦制を企てた謀反の核心人物の一人が文在寅です。

 韓国ではこの春、天佑神助で政権交代が実現しましたが、文在寅など従北・反逆勢力が依然として蠢動、抵抗しています。核実験で国際社会を脅かしている金正恩が“朝鮮労働党日本支部”に「統一戦線工作」を思い切り督励するのは、韓半島の“ハイブリッド戦争”が頂点へ向かっていることを物語ります。

※後編へ続く

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