そこで今回は、以下の5つの「本当にはやっているの?」という単語を、“裏”流行語大賞としてご紹介します。
●SNEP(スネップ)
「SNEP」とは「Solitary Non-Employed Persons」の略で、日本語にすると「孤立無業者」。東京大学社会科学研究所のレポートによると、「20 歳以上 59 歳以下の在学中を除く未婚者で、普段の就業状態が無業のうち、一緒にいた人が家族以外に連続 2日間いなかった人々」と定義されていますが、要は人生の盛りに仕事も、友達も、配偶者もいない人のこと。「フリーター」や「ニート」に続く、新たなる社会属性を示す言葉として注目されているそうです。
すっかり定着している「ニート」と同じように思いますが、スネップはEメールやインターネットの利用すら少なく、人間関係が極めて希薄な状態にある人を指すことが特徴です。東日本大震災を機に、盛んに「絆」という言葉がテレビや雑誌等の紙面で取り上げられましたが、世間の「絆」から完全に切り離された存在といえそうです。
●ダークツーリズム
「ダークツーリズム」(Dark tourism)とは、災害被災跡地、戦争跡地など、人類の死や悲しみを対象にした観光のことをいいます。ブラックツーリズム(Black tourism)または悲しみのツーリズム(Grief tourism)とも呼ばれます。この言葉が今年の新語・流行語大賞の候補に選ばれた理由は、2011年に事故が起きた福島第1原発に関して、文化人らが「福島第1原発観光地化計画」を立案し、活動を広げているため。チェルノブイリ原発で、事故から25年に当たる11年から観光ツアーが解禁されているのを参考に、自己の歴史を後世に伝えるとともに、被災地の復興にも役立てようという狙いで企画されているとのこと。ただし、何が被災地支援として正しいのかは意見が分かれているため、計画は難航しそうです。
被爆地や戦争にまつわる記念館を訪ねたり、公害やハンセン病隔離病棟などの歴史的資料を残す資料館をめぐる旅なども「ダークツーリズム」であり、言葉としてはあまり馴染みがなくても、古くから行われてきています。単に興味本位で見物に行くのではなく、被害者や遺族の悲しみを共にしたり、広く議論が行われるきっかけになるために、この言葉が定着するとよいのではないでしょうか。
●あまロス
主人公・天野アキや、その周囲の人々が驚いたときに発する「じぇじぇじぇ」も新語・流行語大賞候補としてノミネートされている、連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)。国民的人気ドラマとして、今年上半期の話題になりました。その『あまちゃん』が9月に終了したことで、朝昼晩と『あまちゃん』を見ていた人々が味わっている喪失感を「あまロス」(「あまちゃんロス症候群」)と呼ぶそうです。
しかし、一部のあまちゃんフリークは、あまロスを味わう間もなく、すでに次の連続テレビ小説『ごちそうさん』に流れているようで、『ごちそうさん』は『あまちゃん』を超える高視聴率とか。来年は「ごちロス」が流行語に選ばれるのでしょうか。