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新流行語大賞、Twitter解析から予想〜大賞「今でしょ」、次点「倍返し」?

文=編集部
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新流行語大賞、Twitter解析から予想〜大賞「今でしょ」、次点「倍返し」?の画像1「2013年 新語・流行語大賞」候補語のTwitter出現率トップ10

(文=黒沼 透(@torukuronuma)/株式会社アクトゼロ

 11月20日、年末恒例の「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞」の候補語50語が発表され、12月2日の大賞発表を目前に控え、どの候補語が大賞を獲得するのかに注目が集まっています。

 その候補語の1つとして「ビッグデータ」がノミネートされていますが、現在ではビッグデータ分析が活況です。そのほかにも自治体や公的機関の公表データを対象とするオープンデータ分析などが盛り上がりを見せています。そしてネットマーケティング業界で現在盛んなのは、ソーシャルメディア・ブログ・掲示板上でユーザーが自由に行っている情報発信を、言語分析などを用いて解析するソーシャルデータ分析です。

 そこで今回は、データセクション株式会社の解析ツール「Insight Intelligence」を使用し、Twitter上の日本語を中心としたツイートの中から、10%分のツイートデータ(集計期間:2013年1月1日~11月24日)をサンプリングして、Twitter上で今年どの候補語が人気だったのかを検証することにより、大賞有力候補を予想したいと思います。

【候補語50語】
 PM2.5/NISA(ニーサ)/母さん助けて詐欺/弾丸登山/美文字/DJポリス/ななつ星/パズドラ/ビッグデータ/SNEP(スネップ)/ヘイトスピーチ/さとり世代/ダークツーリズム/ご当地電力/ご当地キャラ/こじらせ女子/富士山/日傘男子/バカッター/激おこぷんぷん丸/困り顔メイク/涙袋メイク/倍返し/今でしょ/ダイオウイカ/じぇじぇじぇ/あまロス/ビッグダディ/ハダカの美奈子/ふなっしー/フライングゲット/マイナンバー/NSC/アベノミクス/3本の矢/集団的自衛権/特定秘密/汚染水/ブラック企業/限定正社員/追い出し部屋/ナチスの手口に学んだら/ネット選挙/アホノミクス/引いたら負け/二刀流/スポーツの底力/シライ/お・も・て・な・し/コントロールされている(「ユーキャン新語・流行語大賞 公式サイト」より)

 まずは本家の選考に倣い、トップテンを選出します。

Twitter出現率ランキング「トップテン」(以下、項目横の数字はTwitter上での出現回数)

 1位:パズドラ 1,913,598
 2位:ふなっしー 645,482
 3位:今でしょ 528,982
 4位:富士山 527,771
 5位:アベノミクス 310,077
 6位:汚染水 296,217
 7位:倍返し 287,706
 8位:激おこぷんぷん丸 223,360
 9位:ブラック企業 224,234
 10位:じぇじぇじぇ 211,536
 11位:PM2.5 207,795
 12位:ダイオウイカ 140,640

 ツイート上での出現率ランキングは上記のようになりました。人気ソーシャルゲームの「パズドラ」(パズル&ドラゴンズ)が年間を通して高い出現率を維持し続け、堂々の第1位です。大賞として有力視されている「今でしょ」「倍返し」「じぇじぇじぇ」などの中では、「今でしょ」が最も使われた流行語となっています。上位10ワードは以上のとおりですが、ちなみに11位は「PM2.5」、12位は「ダイオウイカ」となっています。

 ここからは、これら「トップテン」+11〜12位について、傾向を細かく見ていきます。

最大瞬間風速ランキング

 1位:PM2.5 67,589
 2位:パズドラ 59,944
 3位:ふなっしー 57,894
 4位:ダイオウイカ 54,876
 5位:汚染水 41,520
 6位:富士山 40,498
 7位:今でしょ 30,640
 8位:倍返し 30,587
 9位:激おこぷんぷん丸 23,264
 10位:ブラック企業 17,102
 11位:アベノミクス 15,467 
 12位:じぇじぇじぇ 9,980

 各ワードにおける週間計測で、最もツイート数が大きかった週のツイート数を元にランキング評価を行いました。これにより、最も短期間で強い「流行」が起きたワードはなんだったのかを計測できます。

 この計測でトップに躍り出たのは、総ツイート数ではトップテン入りできなかったワード「PM2.5」です。3月4日の週に最も大きい盛り上がりを見せましたが、新聞各社がPM2.5の飛来について報道し始めた時期と一致します。

 続いて「パスドラ」「ふなっしー」と続きます。「ふなっしー」は8月19日にピークを迎えますが、この週ふなっしーはテレビ番組『笑っていいとも!』(フジテレビ系)に出演しており、この週だけで5万7000ツイートされています。「ダイオウイカ」も1月にNHKで放送されたドキュメンタリー番組を皮切りに一瞬かなり盛り上がりましたが、すぐに鎮火していきました。

ポジティブ・ネガティブ傾向ランキング

 次にそれぞれの候補語がどういった文脈の中で使われていたかを解析し、その言葉を使った人がポジティブな意味合いで語ったワードなのか、ネガティブな意味合いで使ったワードなのかでその傾向の強さをランキングしました。

 <出現率上位12ワードの中で、ポジティブ傾向の高かったワード>

   ・富士山:56%
   ・パズドラ:55%
   ・じぇじぇじぇ:54%

 <出現率上位12ワードの中で、ポジティブ傾向の高かったワード>
  
   ・PM2.5:67%
   ・汚染水:66%
   ・ブラック企業:56%

 最も前向きに使われていたワード第1位は「富士山」で、世界遺産登録の際にそれを祝福するツイートがあふれました。第2位は僅差で「パズドラ」で、ゲームに対するポジティブな感想や、「魔法石+ほしい」と言ったかたちで、ゲーム内容に対して日常的にツイートするユーザーが数多くいました。パズドラの盛り上がり具合がわかります。

 一方、最もネガティブに使われていたワードは「PM2.5」で、連日の報道から不安を感じるユーザーが多くいたことがわかります。僅差で第2位に「汚染水」がつけていることからも、日常安全が脅かされることに対する不安感をツイートするユーザーの姿が浮かんできます。第3位には「ブラック企業」がつけています。

性別・世代別利用傾向ランキング

 Twitterユーザーの言語分析を行うと、ツイート内容の傾向からそのツイート主の男女性別や世代などが、およそ80~90%の確度で特定可能です。そこで性別と各世代別で上位12ワードのうち、各ワードがどのような人たちに利用されている傾向が高かったかを定性的に比較します。

 <出現率上位12ワードの中で、男性・女性でそれぞれ利用傾向が強かったワード>

  ・男性…アベノミクス:85%
  ・女性…ふなっしー:64%

 まずは男女比です。最も男性の利用傾向が高かったのは「アベノミクス」です。政治・経済ネタということもあり、男性中心に話題が消費されていました。一方、女性の利用傾向が最も高かったのは「ふなっしー」で、意外と女性ファンが多い様子がうかがえます。

 <出現率上位12ワードの中で、世代別に利用傾向が強かったワード>

  ・10代…激おこぷんぷん丸:23%
  ・20代…パズドラ:50%
  ・30代…PM2.5:40%
  ・40代…ブラック企業:33%
  ・50代…汚染水:28%
  ・60代…アベノミクス:14%

 続いて各ワード利用者のうち、最も発言した世代が偏っていたワードを抽出しました。ツイートの量で各ワードを比較するのではなく、各ワード利用者の世代別ツイート比率で比較をしています。

 10代で最も利用傾向の高かったワードは「激おこぷんぷん丸」でした。20代では「パズドラ」が圧倒的な強さを見せ、子育て世代の30代は「PM2.5」への関心が高いようです。「ブラック企業」は20~40代の働き盛りの世代で広く話題になっていましたが、他ワードに比べて40代が最も利用傾向が強く出ました。50代の利用傾向が高かったのは「汚染水」で、主に政治のあり方を語るツイートの中で汚染水というワードに触れるケースが見受けられました。60代でも「汚染水」問題を語るツイートは多く存在するのですが、こちらではほんの少しだけ「アベノミクス」への言及傾向のほうがより見受けられました。

まとめ:新流行語予想

 以上、ソーシャルデータ分析を使った結果を見てきましたが、最後に新語・流行語予想をしてみたいと思います。

 新語・流行語という意味合いでは、使用された実数も瞬間速度も大きい「今でしょ」の底堅さが感じられます。次点で「倍返し」「激おこぷんぷん丸」ですが、「激おこぷんぷん丸」が10~30代に、「倍返し」が20~40代と広く使われていて、どちらも候補としては申し分ないため悩みどころです。ここはブームがより年末に近かった「倍返し」を次点と予測しておきます。

 次に、今年を象徴するという意味でトップテンに選ばれそうなワード予想ですが、政治経済のワードとしては「アベノミクス」が最も有力です。Twitterユーザー層と相性がいい「パズドラ」も、大賞は難しいですがトップテン入りは狙えるのではないでしょうか。今年を代表する“愛されキャラ”として「ふなっしー」も間違いなく選ばれると予想します。

 社会問題関連のワードとしては、「PM2.5」「汚染水」のいずれもトップテン入りが妥当なのではないかと思います。また、「ブラック企業」にも一定の評価がありそうです。

 今回のTwitter分析から導かれた予想がどれだけ当たるのでしょうか? 間もなく発表される結果が気になるところです。

●株式会社アクトゼロ(http://www.actzero.jp/
企業及び官公庁のソーシャルメディア活用、ソーシャルデータ分析、YouTubeやニコニコ動画などのネット動画プラットフォーム活用で、国内有数のクライアント実績を持つ。

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