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悠仁さま、東大の推薦入試「共通テスト得点8割」の壁…一高校あたり上限4名

文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト
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東京大学(「gettyimages」より)

 筑波大学附属高校の3年生であられる秋篠宮家の長男・悠仁さまが、東京大学の推薦入試制度を利用されて同大に入学される可能性が取り沙汰されている。「女性自身」(光文社/9月10日号)によれば反対の署名活動まで起きているというが、東大の推薦入試の特徴とは何か。また、難易度はどれほどなのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 将来、天皇になられる可能性が高い悠仁さまの進学問題は、これまで世間を騒がせてきた。悠仁さまがお茶の水女子大学附属中学校の3年生だった2021年、悠仁さまがお茶の水女子大と筑波大学が結んでいる提携校進学制度を利用して、難関校として知られる筑波大附属高校へ進学するという報道が相次ぐなか、この提携校進学制度が設置されたのが、悠仁さまが同中学に入学される2年前のことだったことが判明。当時、悠仁さまは同大附属小学校に通われており、内部進学されることが既定路線だったことから、この制度が悠仁さまの高校進学を見据えた措置だったのではないかという見方が広まった。

 22年2月には宮内庁が、悠仁さまが提携校進学制度によって筑波大附属高に入学すると発表。筑波大附属高は学校推薦型選抜による東大進学者を出しているため、悠仁さまは推薦制度による東大進学を目指しているのではないかという見方も広まっている。

国際レベルのコンテストやコンクールでの入賞記録

 東京大学の学校推薦型選抜とは、どのように行われるのか。まず志願者・在籍高校が作成・提出する入学志願票、調査書、学校推薦型選抜志願書、推薦書、学部が求める書類・資料などの書類に基づいて第1次選考が実施される。その合格者は面接および大学入学共通テストを受験し、書類・面接・大学入学共通テストの結果の総合的評価により合否判定がなされる。学校推薦型選抜における各学部の募集人員は2~10名程度(工学部は30名)であり、一高校あたり推薦できる人数は原則4名まで。

<国際レベルのコンテストでの入賞記録>
 難易度はどうなっているのか。共通テストの受験科目は6教科8科目、または7教科8科目であり、概ね8割以上の得点であることが目安として設定されている。たとえば理学部の推薦要件は以下と定められている。

<次の三つの要件を全て満たすこと:(1)自然科学に強い関心を持ち、(2)自然科学の一つ若しくは複数の分野において卓越した能力を有し、(3)グローバルに活躍する意欲があること。これらを示すものとして、(i)特に優れた成績や研究成果(自主的な研究活動も含む)など、(ii)科学オリンピック<数学、物理、化学、生物学、地学、情報>、高校生科学技術チャレンジ、日本学生科学賞など、国内外で開催された各種コンテストへの入賞、科学雑誌などへの論文発表、商品レベルのソフトウェア開発経験など、(i)、(ii)のいずれか若しくは両方を有すること。

 なお、志願者が主導的な役割を果たし顕著な成果を挙げた活動(例えば、研究活動、国際活動、社会貢献活動、芸術・文化、スポーツなどでの意欲的な活動やリーダーシップを発揮した活動など)も評価に加味します>

 また、経済学部は志願者に提出を求める「推薦要件に合致することを証明できる資料」について、次のように定めている。

<例えば、

・全国レベルあるいは国際レベルのコンテストやコンクール(例えば数学オリンピック)での入賞記録あるいは論文採択記録

・英語その他の外国語に関する語学力の試験(TOEFL、英検、IELTS、TestDaF、DALF、HSKなど)において高得点を取ったこと示すもの

・留学を含む様々な国際的活動で、その内容が第三者によって高く評価されたものについて、その詳細や評価内容を記した文書(新聞記事など)

などです>(原文ママ)

難関国立大学と同じ水準

 東大の推薦入試の特徴について、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏はいう。

「東大の推薦入試は2016年から開始となりました。現在の正式名称は他大学と同様、学校推薦型選抜なのですが、メディアなどでは『東大の推薦入試』となっているケースがほとんどです。募集人員は全学部合わせて100人程度です。選考方法は一次が書類、二次が面接や小論文など。他に大学入学共通テストの受験も必須です。倍率は2.2~2.8倍といったところです。

 出願条件は、学部にもよりますが、国際レベルのコンテストやコンクールでの入賞実績、語学力などが求められます。出願は一般入試と異なり制限があり、最大4人まで。男子校・女子校は最大3人までとなっています。1次選考の合格発表は12月2日。共通テストの受験と一定スコア(8割以上)が条件となっているため、最終合格発表は2月上旬、25年入試は2月12日です。そのため、合否が判明する前の2月上旬が募集締め切りとなる東大の一般入試・前期に出願することは可能です」

 東大の推薦入試のハードルの高さは、どれくらいなのか。

「推薦入試という字面から『あの東大に簡単に入れる』と誤解されることが多いです。まず、共通テストで8割以上という得点率ですが、これは難関国立大学と同じ水準です。悠仁さまの東大以外の進学候補とされている大学で見ていくと、筑波大学生命環境学群が76~77%、東京農工大学農学部が69~73%(獣医学科は81%)です。ただ、80%というのはあくまでも目安であり、実際は年にもよりますが、80%を超えているといわれています。出願条件は学部により異なるため、あいまいな部分があることは確かです。ただ、これまでの合格者を見ていくと、一般入試合格者に比べて学業成績が劣るなどの話は出ていません」(石渡氏)

東大の一般入試と推薦入試、ハードルの高さは同じ

 東大に一般入試で入学するのと、推薦入試で入学するのは、どちらが難しいのか。

「24年の東大の総志願者数は9688人、合格者数は3084人でした。このうち、推薦入試(志願者数256人、合格者数91人)を除くと、9432÷2991で3.15倍です。推薦入試の倍率は2.8倍なので、数字だけ見れば推薦入試のほうがハードルは低いとなります。

 ただ、出願条件を見ていくと、推薦だから簡単とはいえません。学部にもよりますが、医学部はTOEFL iBTで100点以上を求めています。これは実用英語検定だと1級、TOEICだと880点以上に相当します。法学部は学年全体での成績が『上位概ね5%以内』としています。医学部、法学部の条件は他学部にはありませんが、これと同等程度の成績を求めている、と見るほうが自然です。こうした成績だけでなく、国際的なコンテスト・コンクールでの入賞など活動実績も必要としており、出願条件を考えれば、選考方法が異なるだけで、ハードルの高さはどちらも同じ、といっていいのではないでしょうか」(石渡氏)

 では、もし仮に悠仁さまが学校推薦に東大に志願された場合、合格される可能性はどうなのか。大手予備校関係者はいう。

「選考における個人別成績については希望すれば東大は開示してくれるので、本人だけは知ることができるものの、東大が具体的にどのような基準で評価しているのかは誰も分からない。また、東大も将来天皇になられる可能性のある皇族の方を学校推薦で選考するのは初めての経験なので、どのように評価すべきかは学内で議論が出て当然だろう。単に客観的に把握できる学業や研究の成績などで評価してよいのか、他の一般の志願者と同じ軸で評価してよいのか、という話にもなってくるだろう」

(文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト)

石渡嶺司/大学ジャーナリスト

石渡嶺司/大学ジャーナリスト

編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。

Twitter:@ishiwatarireiji

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