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兵庫県と神戸市、阪神大震災の復興住宅入居者に突然の退去命令、孤独死増加の恐れも

文=山口安平/ジャーナリスト
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●孤独死を増加させる恐れも

 神戸市は、市営住宅の空き家に入ることを進めているが、なじみの病院に行けるぐらいの近場に引っ越し先はない。県の借上住宅から市営住宅に移り住むことはできず、神戸市内に県営住宅は非常に少ない。転居したいと思っても、代わるところがないのが現実だ。仮設住宅解消までの5年間で被災者の孤独死は233人、復興公営住宅入居開始から現在までで778人、合わせて1011人に達している。高齢者に住み替えを促すことが孤独死を増加させる危険性をはらんでいるのは、目に見えて明らかなことだ。

 神戸市と兵庫県は13年3月25~27日に、(1)期限満了時に85歳以上、(2)要介護3以上の高齢者、(3)重度の障害者、のいずれかの要件を満たした人については継続入居を可能とすると発表した。

 これにより神戸市で約2割、兵庫県で約4割の居住者の継続入居が可能になる。しかし、いずれも「原則は住み替え」との方針はそのままである。

 新たな線引きによって基準から漏れる人が出てくる。神戸市の基準で想定すれば85歳と84歳の違いはどこになるのかなどの根拠がまったく不明確だ。また線引きすることで居住者間を分断し、新たな差別が生まれる恐れも懸念される。

 基準を満たした居住者の中には、基準を満たしていない、つまり出て行かなければならない人に助けられながら生活している人もいる。線引きすることでこれまで築いてきたコミュニティーが分断される可能性がある。85歳以上の高齢者や重度障害者だけが借上住宅に残ることになり、さらなる孤独死を招く恐れが指摘されている。

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